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2025年お正月特別SS 幸せな年明け④

前置き  お正月早々一家でインフルになってしまいました。  そのため更新が途中で滞り、お待たせして申し訳なかったです。  ようやくお正月特別SSの最終話を書けました。 (病み上がりのウォーミングアップなので短いです) **** 「あー 楽しかった!」  芽生は凧を胸元に抱えて、満足そうな顔を浮かべていた。  上気した頬、溌剌とした表情。  いきいきとした笑顔! 「お兄ちゃん、この凧はなっくんに会えたよね?」 「うん、夏樹は凧揚げが好きだったから喜んでいたと思うよ」 「やっぱり、なっくんは凧揚げが好きだよね? やっぱりそうだったね」 「えっ、どうして知っているの?」 「だって、ボク、なっくんと友達だもん」  そう言い切る芽生は、最高にかっこ良かった。  芽生はどこまでも晴れ渡る青空のような、爽やな少年に成長した。  瑞樹もそんな芽生にメロメロで、とろけるように甘い笑顔を浮かべていた。 「ありがとう。芽生くんの言葉は光のように輝いているよ。新年から嬉しいよ」 「えへへ」 「さぁ、そろそろ家に帰ろう」 「うん!」 「はい!」  例年なら俺の実家に新年の挨拶に行くところだが、今年は兄さん一家が、母さんとちゃたを連れて、箱根旅行に行っているので誰もいない。  きっと今頃、箱根でゆったりと新年を迎えているだろう。  ちゃたも広いドッグランで自由に走り回っているだろう。  俺たちも一緒に行こうと兄さんから誘われたが、お互い年末激務で疲れ気味だったので、今年は自宅でゆっくり過ごすことにした。  その代わりに上等なローストビーフや母さんの黒豆を差し入れてもらったのさ。 「ボク、おうち大好き」 「僕もだよ」 「だって大好きばかりだもん」 「うんうん」  芽生と瑞樹の仲良しな会話に耳を傾けながら、帰路に就いた。  日が暮れる前にお風呂に入り、パジャマやスウェットというラフな恰好で、こたつに入った。  無理矢理ソファを隅っこに追いやって設置したこたつは、とっておきの場所になっている。  お重を並べ、ローストビーフをサラダの上に大盛りにして、チーズやナッツなどのおつまみを並べる。  特別な料理はせず、切って並べただけの食卓だが、最高に豪華だった。  時折、瑞樹とは炬燵の中で手を握った。  その度に瑞樹が初々しく頬を染めるので、芽生に「お兄ちゃん、もう酔っ払っちゃったの? まだ起きていてね」と言われ苦笑した。  愛媛から箱で購入したみかんを山盛りにして、剥いた。  炬燵にみかんとかベタすぎるが、これぞ日本のお正月といった風情で良いもんだ。 「宗吾さん、こんなお正月もいいですね」 「あぁ、まさに家族水入らずだよな」  母さんの漬けた梅酒にほろ酔いの瑞樹が、コトッと肩にもたれてくる。  瑞樹の膝には、遊び付かれた芽生が寝転んで、うとうとしていた。  瑞樹の優しい手は、芽生の頭を静かにそっと撫でている。  愛情が満ちている。  そんな優しい光景に、俺もフッと目を細める。 「来年もまた、こんな新年を迎えたいですね」  瑞樹がぽつりと呟くので、俺は断言した。 「あぁ、これからも迎えよう」 「むにゃむにゃ……パパぁ……おにいちゃん……ボクもまぜてぇ……」  寝ぼけた芽生の甘えた声。  もう聞けないと思っていた「パパ」という台詞にグッとくる。 「幸せだな」 「はい、幸せです。とても――」  家族の幸せなひとときが、穏やかな夜に溶け込んでいく。  新しい年は、ささやかな幸せに感謝することから始まった。               2025年お正月特別SS 幸せな年明け 了

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