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再会 01
* * *
「よっ。ちゃんと来たな、シモ」
しばらくシモとふたりで話していると、ひと通り挨拶まわりを終えたフォードルがレオニードを引き連れてやって来た。
夢にまで見た相手が近くにいるという状況に、エイノの全身が心臓になったみたいにドクドクと脈打っている。
「やあフォードル。残念ながら君に呼ばれたから来たんじゃない。今日は僕の大事な友人を自慢しに来たんだよ」
「ったく、相変わらずつれないな」
大げさに肩をすくめてみせる灰色狼は、きちんとした身なりのわりに、どこか軟派そうな印象を与える。
シモはさらりと彼をあしらいながらエイノの腕を掴み、隣に並び立たせた。
「彼が僕の友人のエイノだよ。とっても素敵でしょ」
「は、初めまして。エイノです…!」
「ああ、君がシモのヒーローくんか。俺はフォードル。シモとは大学の寮で同室だったんだ。よろしく」
「ひ、ヒーロー……?」
自分にはあまりにも不釣り合いな形容詞に、エイノは目を丸める。
シモはにこにこしながらフォードルの背後に視線を移した。
「それで、そちらの紳士を紹介して欲しいんだけど」
急かすような言葉に一瞬だけフォードルが目をすがめたが、すぐ「ああ、こいつは友人のレオニードだ」と白い歯を覗かせてほほ笑んだ。
「レオニードだ。よろしく」
シンプルな挨拶の後、彼が大きな白い手をシモに差し出し握手する。
美と貫禄を合わせ持つ獣人と神々しい妖精が並べば、もはや完成された絵画のようだ。
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