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再会 05
灰色狼の目的とやらがシモなのは歴然としているが、レオニードの未来を憂えていることも事実だろう。
「じゃあ、今日は愛や恋を探しに来たの?」
「……いや、様子を見るついでにフォードルを介して人脈を得ようと……思ってたんだが冷静に考えたらただの甲斐性なしだな」
突然我に返ったレオニードが口元を緩めた。
場の空気が柔らかくなり、エイノの瞳は彼に釘付けになる。
(わ、笑った……!)
くっと眉を寄せた控えめな笑顔は壮絶にセクシーで、きゅうきゅうと胸が締め付けられた。
こんなのかっこよすぎて目の毒だ。
「そ、それなら、今夜は甲斐性見せる?」
「さあ、気分次第だな」
先ほどより随分砕けた口調で答える彼は、どこか楽しそうに見えた。
もし甲斐性を見せる相手がエイノでもいいと思ってもらえたら、彼の意思を踏みにじらないでいられる。
「どんな子がタイプ?」
「タイプか……。お人好しは嫌いじゃない。それでいてハイブリッドでもいいと言ってくれる相手なら」
遠い目をして何かを思い出すようなレオニードにドキリとする。
まるで思い浮かべている相手がいるような反応だ。
(もしかして、好きな人がいるのかな……)
ズキンと胸が痛む。けれど相手がいたとしても諦められない。
望んでいるのはたったひと晩だけなのだ。
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