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甘美な企み 03
彼が車道の脇に立ってすぐ黒塗りの大きな車が止まり、エイノは腕に抱えられたまま後部座先へと乗り込む。
近くの高級ホテルを指定する声が聞こえてようやく肩の力が抜けた。
ホテルに到着し、エントランスを抜け、フロントに向かう間も横抱きにされたまま、とうとう一度も放り出されることなく上階までたどり着く。
夜景が綺麗な広々とした部屋に通され、変な緊張で背筋が冷たくなった。
(わあ……どうしよう。一泊だけでも数百万したりして……)
発情しているふりをしなければならないのに、頭の中が金勘定でいっぱいになる。
わがままを言ったのはエイノであって、レオニードは付き合わされている側だ。
今宵エイノに許された時間はすべて買い取るつもりだが、貯金を使い果たす覚悟はしておいたほうがいいだろう。
「気分はどうだ」
「……あなたが甲斐性を見せてくれたら、最高なんだけどな……」
ベッドへと横たえられ、離れていこうとする彼の手を素早く捕まえる。
早くしたくてたまらないと訴えるように、白く美しい指を口に含んだ。
「んっ……ねえ、抱いてくれるんでしょう? 遠回しじゃなく、ちゃんと抱いてやるって言って。……ン、んぅ……っ」
ちゅうちゅうと音を立てて指先を吸い、赤い舌をちらつかせて舐めあげると、レオニードがすうっと瞳を細めた。
欲情の光が虹彩に宿っている。
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