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第2話 学園の派手なツートップ
取られるも何も『お相手』に指名されたことはない。
『お相手』とは会長の性処理係りだ。
会長はもてるのをいいことに、親衛隊の中から、手っ取り早くセックスの相手を調達していた。
僕は平凡な容姿のおかげで、会長のお目に留まることなく親衛隊ライフを満喫していた。
それはおかしい、って?
だって、僕は会長の親衛隊に所属しているけど、会長のことは好きじゃないから。
部活にも委員会にも入っていないから、サークル感覚で親衛隊に入ったし。
親衛隊のみんなと、わいわいがやがや過ごすのは、本当に楽しいのだ。
誰の親衛隊でも別によかったけど、万が一、手違いで『お相手』に選ばれないように。
高等部になってすぐに一番規模の大きい親衛隊に入ったのだ。
なのに、1ヶ月後には、風紀委員の龍ヶ崎広明 の親衛隊の方が最大になってしまった。
彼も同級生だけど、醸し出すオーラが、もう、なんていうか、違っていた。
別次元の人?
家柄もすごいが、容姿もすこぶるよかった。
長身に黒髪黒目で、魔王なんて呼ばれていた。
中等部3年の2学期から学園にきた帰国子弟で、海外を拠点としたグループ企業の創始者の直系で嫡男。
ただ無口で無愛想で、近付くな感が半端なくて、遠巻きにするしかない。
取り巻きも、エロい美人をまとわりつけているから、守備範囲外になれたのに。
エロい美人といっても、男子高校生だけど。
僕の通っている私立芙蓉学園は、幼稚園から大学まであるエスカレーター式の学校で、大学以外は男子校だ。
要所要所で、外部入学ができるようになっているが、幼稚園から所属している生粋の芙蓉生は数が少なく、特別視されており、他の生徒とは一線を画していた。
中高等部は、都心から離れた地方都市の外れの自然豊かな場所にあり全寮制だった。
僕は初等部から学園に所属している間宮瑛士 。
弁護士の子供で、資産家でも名家でもない。
両親共に弁護士で多忙な人達だったので、お受験に煩わされたくなくて、入れられたかんがいなめない。
龍ヶ崎とは違い、生徒会長は人当たりがよい。
天然を装った計算高さがかいまみえるが、基本的に博愛主義の八方美人だ。
親衛隊をあらかさまに邪険にしたりしない。
そこは、腐っても生徒会長様だ。
外見は龍ヶ崎とは真逆の王子様タイプだ。
長身で薄茶色の髪に、グレーの瞳の日本人離れした美しい顔はイギリス人の祖母譲り。
幼稚園から所属している生粋の芙蓉生で、ホテル王の孫。
『どうしたんだい君たち…』
『ベイビ~』
なんて、某国民的な清水を舞台にしたアニメのキャラを地でいける人だった。
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