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第4話 痛くしないで
「慣れてるんだったら、物足りないよね」
と、高橋先輩。
え?
先輩が僕の白いシャツの中に手をいれてきた。
「ちょ、ちょっと」
いい加減にしろっ!
先輩を押し返すけど、
この人、力、強いよぉ。
押し返えせない。
「時折すまして無表情なのも惹かれるけど、焦った顔されるとたまんないよ……」
すまし顔は気が抜けて素の時。
僕のこと、よく見てるなー。
なんて感心してる場合じゃない。
先輩の手が胸をさわってきた。
「痛っ」
乳首をぎゅっとつままれた。
シャツと肌着を一緒にをめくられ、
「やっだあぁ」
いじってない方の胸に吸い付かれた。
先輩の頭をつかんで、ひきはがそうとするけど、離れてくれない。
「……やめて下さい」
返事の代わりに、
「うわあっ!」
がりっと、乳首を噛まれた。
痛さに、涙がぶあっと、あふれた。
「痛、痛いってばぁ!」
容赦なくガリガリと噛んできた。
マジで痛いてっば。
齧 っていない方は、ぎゅっとつまんで引っ張ってきた。
「乳首ぃ……ちぎれちゃう」
先輩の目線があげられて、僕をじっと見てきた。
すっと、その目が細められた。
けっして笑んだわけじゃない。
加虐嗜好なわけ、この人?
ぺちゃりと、噛んでいた乳首を舐めてきた。
ヒリヒリする突起をいたわるようにねっとりと舐められ、
「あっ…」
やさしく吸ってきた。
思わずもれた声に僕は口をおさえた。
ぺちゃくちゅ、と音をたてながら乳首を吸ってくる。
きつくつまんでいた方の乳首を指の腹で、やんわりとさわられた。
乱暴な愛撫によって、強制的に立ち上がらせられた乳首に、丁寧なさわりかたをされていく。
「ううん…」
自分の手のひらの中で声がもれていった。
背中にまわっていた先輩の手が、前にきて腹をさすってくる。
思わず、くすぐったさに体をひねってしまう。
「あぁっ!」
乳首を食いちぎる勢いで歯をたてられた。
涙がぽろぽろとこぼれていく。
先輩が顔を離し、頭をあげた。
僕より高い位置から見下ろされた。
左手は僕の乳首をいじったままだ。
「泣き顔、かわいい」
口をおおっていた僕の手を離された。
「いつもそんなふうに、誘ってんの?」
「……そんなことしてません」
「慣れてるんでしょ?」
「慣れてるのはキス。……親がいつもするから」
「親? じゃあ恋人とのキスはしたことないの?」
「ありませんよ。……恋人いたことないですから」
「あぁ、かわいいっ!」
先輩に両腕でぎゅっと抱きしめられた。
耳元で、
「間宮、好きだ」
と、甘い声でささやかれた。
もう、何度も聞かされたセリフだから、なんかありがたみがない。
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