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第6話 恋人のキスは恋人としたい
「間宮ぁ……おれのものになって」
好きでもないのに、先輩のものなんかにはなれない。
片想いなんだから、ふつうにあきらめて欲しい。
変質的なしつこさに、どう対処したらいいのか、わからない。
とりあえず、離して欲しい。
ただでさえ暑いのに、抱きしめられて暑さが増した。
顔に汗が浮かんでくる。
「先輩ぃ、離して」
「やだ」
即答かよ。
抱きしめられたまま、顎をつかまれた。
「恋人のキス、するよ」
首を横にふって拒絶した。
「開けろよ」
先輩にすごまれてた。
嫌なものは嫌。
僕は口をきつくむすんだ。
「見た目に反して強情なんだね」
見た目って何?
『何でもいいなりになるタイプ』だと思われていたの?
いきなり、シャツの上から乳首をつねられた。
「いやっ…んん」
嫌だ、と言いかけたところで、口の中に先輩の舌が差しこまれた。
くそ、失敗した。
僕の口の中で、他人の舌が動いている。
僕の舌に絡んできた。
やだぁ……。
僕のしっているキスは、唇にリップ音がなったりする軽いものやペロリと舐められるような類いのもの。
気持ち悪い。
口の中を犯すようかキスは初めてだ。
初めてが先輩なんて、嫌だ。
どうせなら好きな人としたかったな。
乙女な思考に陥っていたら、
「んんんっ…」
シャツの中に手を入れられて、直接に乳首をさわられた。
キスだって許可していないのに、胸もいじられて、本当に嫌だ。
好きでもない人に、好き勝手にいじりまわされて、好きになんてなるわけないのに。
口の中にたまっていく唾液は、僕の口角から外にたれていく。
喉もとをつたっていく生ぬるい液体の感触に、気持ちが悪くて身震いした。
先輩がやっと唇を離した。
「……感度いいよね」
見当外れの感想。
そんなもん、ないから。
「ねぇ、間宮……寮までもたないよ。ここでヤらせて」
これ以上何をやりたいんだよ?
まさかマジでこんなところで犯すの?
誰がやってくるのかわからない学校のトイレの入口でだよ?
今僕らのいる特別教室棟のトイレは、普通教室棟のトイレとは違って簡素化されているけど、広くてキレイ。
プライバシーに配慮され、小便器より個室が多い配置だ。
せめて、トイレの個室で。
いや、違うからっ。
「いや……です」
「煽 るのがうまいよね」
そんなことしてないし。
先輩をにらんだら、
「かわいい」
と、言われた。
「ひあっ」
胸から離れた手がお腹をさわってきた。
下腹部に手を差し入れていく。
ベルト、もっとしめとくんだったなぁ。
外さなくても手が入るのは問題だ。
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