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第9話 イケメンばかりの風紀委員

一人になるのが怖い。 なんて、僕が言ってどうなるの。 僕を襲おうなんて思う人なんか、高橋先輩以外にいるわけないけど、やっぱり一人でいるのは怖い。 八巻は僕のことをじっと見てから、少しだけため息をついた。 右手に高橋先輩の腕をつかんだままの状態で、ズボンのポケットからスマホを取り出し、誰かに連絡をいれていた。 他の風紀委員を呼び出している通話内容だった。 3分もしない内に、2名の風紀委員がやってきた。 1人は長身の同級生の橋爪幸助(はしづめこうすけ)。 何度かクラスメイトになったことがあったので顔なじみだ。 もう1人は2年生の風紀副委員長で、佐々木(ささき)さんだ。 背が高くて、サラサラの黒髪に黒目がちの瞳の持ち主で、華やかな風貌のイケメン。 どうして、生徒会役員じゃないんだろう? 風紀より生徒会の方が似合ってるんじゃないの? 親衛隊は本人が承認しなかったから、ない。 クールでインテリ系の雰囲気の風紀委員長の神田(かんだ)さんと対で、二人が並んでいると生徒達の眼福だった。 風紀委員て、見た目がゴツくて対応が冷たくて怖いイメージだけど、学園(うち)の風紀委員達は容貌がよい人が多い。 だから、親衛隊がいる人もいて人気が高かった。 お近づきになりたくても、風紀委員の選考が厳しくてなかなか委員にはなれないのが現状だった。 「修一郎、彼が被害者?」 と、佐々木さん。 「えぇ」 と、八巻。 「ぼくと行こうか」 と、きれいな顔の佐々木さんが僕のそぱにやってきた。 「大丈夫?」 と、顔を覗きこんできた。 後ろが壁だから逃げられなくて、顔だけで()けた。 「……だ、大丈夫です」 「ぼくでも怖い?」 と、ますます顔を近づけてくる佐々木さん。 僕は首を横にぶんぶんと振った。 あなたの顔が近いからだってば。 普通に特徴のない平凡の僕の泣いた後のぐちゃぐちゃな顔を、見られたくないだけだからっ! なんかもう、僕に時間を()いてくれた佐々木さんに申し訳なくて。 「佐々木さん、近すぎ。免疫ないと困る距離だって」 と、橋爪。 「そう?」 と、僕から少し離れてくれた佐々木さん。 「服直せる?」 と、佐々木さん。 僕はうなづいて、乱れたままの服を整えだした。 ズボンのベルトをゆるめて、シャツと肌着をズボンの中にしまう。 その一連の動作をなぜかみんなに見られていた。 「腰、細っ」 と、ぼそりと言った橋爪。 別に腰が細いわけじゃない。 全体的にひょろりとしているだけだ。 ズボンの前立てのファスナーを下げなくても、シャツはお腹の中に入れれるし。 「修一郎と幸助は先に行ってて」 と、二人に指示した佐々木さん。 「了解」 と、橋爪。 「高橋さん、行こっか」 と、先輩を促してトイレから出ていった八巻。

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