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第13話 スクールカースト

「訂正印が必要な箇所あるの?」 と、僕。 「6箇所」 と、龍ヶ崎がバカにしたような目で見てきた。 「普通に捺印も必要だから。普通の印鑑でいいんで、明日持ってきて」 確かに。 被害届の氏名欄の後ろに押印するようになっていた。 今すぐに訂正印を出せといった訳じゃなくて、実際に僕が持っているかを確認したかったようだ。 印鑑、持ってますよ。 寮の部屋の机の引き出しに入っている。 押印のいる書類が年度始めにはたくさんあるので、印鑑は必需品だ。 保護者の署名と押印がいる場合は、保護者の元に書類が送付され、それを返信するようになっていた。 龍ヶ崎は言葉足らずでわかりづらい。 なぜ親衛隊が彼に群がるのか? やっぱり顔か? 背が高くてスタイルもいい。 見た目か。 人間見た目がほとんどだというし。 龍ヶ崎のバックにある家は、巨大企業だから必然的にモテてしまうのはわかるけど。 僕は龍ヶ崎にせまられても遠慮するわ。 絶対にそんなことはおこらないけどね。 学園(ここ)では特に性格は重要視されていない。 最大に重視しているのは家柄と裕福かだ。 旧華族や元大名家等の名家でも、没落していれば歯牙にもかけられない。 現在進行形で繁栄している家が、最大限にもてはやされるのだ。 何代も続く政治家や官僚などの家系の子供も、いずれはその基盤を受け継ぐとみなされ、ちやほやされていた。 なかなかにエグいスクールカーストが、ここには初等部から存在している。 でも、頂点に位置する人達って、元々育ちがよくて容姿もよくて、下々(しもじも)の格付けなんかにはまったく興味がないみたいだった。 セカンドに君臨する人達が、自分達より下に生徒達を位置付け、尊大にふるまっていた。 サードが一般的な生徒。 サードの中でもなぜか浮いていて相手にされないのがフォース。 最下層には、苛められたり無視される存在のフィフス。 ここのトップに君臨するファーストは本当に限られた人達で。 一般生徒からは声さえかけづらい存在だった。 でもね、初等部からの同級生だから普通に話してしまうわけで。 同級生にファーストの人間が多すぎるのも考えものだよ。 それでセカンドから目をつけられるのは避けたいから、かなり気を使って行動しているサードの僕。 サードで容姿はよくても家柄が普通でセカンドになれないセカンドよりのサードもいるし。 セカンドなのに、他のセカンドの逆鱗にふれてフィフスに、落ちた人もいた。 なかなかのスリルと緊張感を持って学園生活を送っている。 な~んて、ほんの一部の生徒達だけだ。 僕はいたって平々凡々と一人暮らしを満喫していた。

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