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第17話 プライバシーってなに?
少し歩いたら、八巻が僕の部屋で足を止めた。
あれ、部屋番言ったっけ。
そういえば、いつのまにかローカを並んで歩いていた。
僕が前を歩いて誘導していたわけじゃない。
「プライバシー保護法」
と、僕。
「任務ですから」
被害届に部屋番号と電話番号を記載しているから、しれわたっているのだ。
「まぁ、いいですけど」
「明日、休むんだったらおれに連絡して」
と、八巻にメモを渡された。
「休む?」
首をかしげたぼくに、
「心配なさそうだね」
と、言われた。
「強姦されそうになったんだから、一人になるとフラッシュバックとかおこして、対人恐怖症とかなる人がいるんだけど」
「……あ~ねぇ」
メモにはRINEIDじゃなくて、
電話番号が記載されていて、
「簡単に番号なんて教えていいの?」
「間宮は悪用しないでしょ」
と、言い切られた。
悪用しないけどさぁ。
ほんとに出来なくなったよ……。
「八巻は未登録からの着信でもでるの?」
「間宮はでないの?」
質問返しだ。
「でないよ。用事があるんだったら留守電に何か残してくれるし」
と、僕。
「それじゃあ、おれの番号登録しておいてね」
「必要?」
「おれからの電話、スルーされたくないもん」
「しないよ……でも、音消してて気づかないかも」
「あとからでよいから、おれからの電話には連絡してね。明日は迎えに来た方がいい?」
「いらない。心配しすぎ」
「わかった。ムリしないでね」
と、八巻は言うと帰っていった。
僕はIDカードで解錠して部屋に入った。
僕の部屋は一人部屋だ。
基本一人部屋だが、各階に10部屋は二人部屋があった。
学園の寮は8階建てでホテルのような造りだ。
フロアの真ん中にローカがあり、その両側に各部屋があった。
東西に配置された部屋の西側が僕の部屋だ。
夏の西日がきついのに難があるが、それ以外はいたって快適だった。
オートロックで家具付き1LDK。
3年間部屋替えなしだからずっと暮らす部屋だ。
脱衣所に直行し、制服を脱いでバスルームに入った。
高橋先輩に強姦されそうになって、触られまくった体を洗うためだ。
抱きつかれて汗もかいたし、さっぱりしたかった。
頭と体を洗い終わったけど、まだ浴槽の中にはお湯が溜まっていなかった。
かまわずに浴槽に入った。
腰浴だ。
お湯をはりながら、足を伸ばしてお湯が溜まっていくのをのんびりと待つ。
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