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第21話 ローカを歩けば御曹司に遭遇する
「高橋のことはどうしたい?」
と、副隊長。
風紀からは個人的な見解は聞かれなかったことを、聞かれた。
「僕に関わらないで欲しいです」
「あんなになついてたのに。高橋はかわいそうだね」
「生理的に無理です」
「生理的にねぇ。未遂だろ? そんなに嫌われることしたの?」
「……………………されたことよりも、言動が異常でした」
「異常って?」
「……僕が、高橋先輩を明日には好きになっている、とか」
「熱烈だねぇ」
と、副隊長は喉奥で笑った。
「好かれている方が幸せなのに。それ、捨てちゃうんだ?」
と、副隊長。
「好きな人に好かれるのが、幸せだと思います」
「そんなことはめったにおきないから、奇跡っていうの」
「掛川さんにも奇跡はおきますよ」
副隊長は小さく息を吐いてから、
「……口が達者。将来はやり手弁護士になりそうだね」
と、笑った。
「高橋の退学とか希望しないの? きみのご両親が理詰めで畳み掛ければ、実現すると思うけど?」
「人一人の人生設計変えるほどの権利は、僕にはありませんよ。風紀に助けられて未遂でしたし」
「甘いなぁ」
「学園 でセカンドやファーストに借りを作った方が、将来的に有効でしょう?」
と、ニヤリと笑ってやったら、
「心にもないこと言わないの」
と、副隊長に鼻先をつままれ、すぐにはなされた。
「佐々木が『風紀に欲しい』って言ってたよ。直接言われた?」
「風紀向きだと言われました」
「風紀に入るの?」
との問いかけに、僕は首を横に降った。
「風紀委員って、顔面偏差値が高くないと入れないみたいですけど」
「なにそれ? そんなの聞いたことないよ」
と、きれいなお顔で爆笑する副隊長。
「じゃあフリーになるんだ? どこかの部活に入った方がいいよ?」
どうして、みんな、僕をどっかに所属させようとするんだろう?
「運動は得意じゃないんで」
「文化部にすれば?」
「あ~しばらくは帰宅部です」
「退屈で我慢出来なくなると思うよ? 間宮は生徒会とかも似合いそうだね」
は?
風紀委員なら、ともかく、生徒会?
ファーストの巣窟に、一般人のサードが入れるわけないじゃないか。
「はは……なに言ってるんですか。僕はサードですよ。中等部の時から生徒会室に入ったこともないです」
「そんな変な制度関係ないよ。仕事が出来る人間には、それ相応の適所に配属すべきだよ」
「掛川さんはよいトップになりそうですね」
僕が小さく笑と、
「実現したら、顧問弁護士になってね」
と切り返された。
学園 って、どっかの御曹司だらけで嫌になるよ。
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