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第23話 風紀のアフターサービス?

夕食を作る気にはなれなくて、南ちゃんがスーパーでお弁当を買ってきてくれた。 それを僕の部屋で二人で食べて、南ちゃんは泊まった。 部屋のベッドはダブルサイズなので、二人で一緒に寝ても狭くないのだ。 「瑛ちゃん、朝だよ……」 「ん…」 間近で聞こえるセクシーボイスに、 「みな…みちゃん……もうちょい寝るぅ」 と、目を開けずに近くにある温かみにすり寄った。 すぐにそれがなくなってしまった。 シーツをパンパンと叩いて探していたら、手をつかまれた。 「瑛ちゃん……朝弱すぎ」 「ぅん…まだ…だめぇ」 「ほんと、寝汚い」 「うぅん……」 「ぼくも自分の準備しなきゃなんないから、もう構えないよ」 と、南ちゃんに手を離された。 南ちゃんはベッドから下りたようで、気配がなくなった。 う~ん。 だってまだ起きなくてよいじゃん。 目覚まし時計だって鳴っていないし。 朝が苦手な僕は、大音量ベル式の目覚まし時計が3つあって、時間差で鳴るようにセットしていた。 ついでに、スマホのアラームも完備していた。 南ちゃんにうるさすぎる、と言われている……。 「起きて。朝ごはん食いっぱぐれる」 肩をゆすられて、 「……ごはん…いらゃない」 「あんたはいらなくても、おれはいるの」 僕は腕を持ち上げられ、 「いたっ…」 上体を引き起こされた。 「暴力反…」 半開きの目で抗議しかけて、ぱっちりと開眼した。 「八巻?」 なんでいるの? 夢? 「目ぇ覚めた?」 と、八巻。 本物だ。 現実だ。 「なんで?」 「迎えに来たら、篠塚が入れてくれて、間宮を起こせって言われた」 昨日の今日だから? わざわざ迎えに来たの? 風紀のアフターサービスって、すごいわ。 そばに南ちゃんがいないか、 キョロキョロして探し、 「その南ちゃんは?」 「朝の準備に忙しそうだったよ。間宮も早く準備して」 「え~。まだ時間あるよ」 「は? ギリギリだよ? ご飯食べてる時間なくなるよ?」 「だって僕、朝食べない人だから」 八巻の紫色の目がすがめられた。 今日は紫なんだ。 噂通り日替わりでカラコン変えるんだ。 「……それ、事前に欲しい情報だよ」 「だって聞かれてないし。まさか朝イチで迎えにくるなんて、聞かされてなかったもん」 「もんじゃない。早く顔洗って服着替えて。食堂いくよ」 「あ~。ご飯食べないのに食堂行くのって無駄じゃない?」 「間宮には無駄でも、おれには必要なことなの。それに朝はきちんと食べた方がいいよ。脳みそが糖分欲しがってるのに。間宮は人より頭使うのに、食べないからガリガリなんだよ」 腕をつかまれたまま、ベッドから降ろされた。 手をつながれて洗面所に連れていかれる途中で、リビングでお茶を飲んでいる南ちゃんをみつけた。 「おはよう~」 と、手を振ってきた南ちゃん。 なにを優雅にお茶を飲んでいるんだ? これ、なんとか、して欲しいのに。

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