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第25話 芙蓉学園設定ベルば◯
「僕、先に行くから」
と、立ち上がったら、
「ああ?」
と、八巻にすごまれた。
「誰のせいで、あわただしくご飯食べなくちゃねらなくなったわけ?」
と、八巻。
「……僕のせいではないよ?」
だって、僕は朝ごはん食べない人なんだから。
それ、言ってるし。
団体行動は苦手。
人混みはもっと苦手だ。
「あなた達といると目立つので」
と、僕。
「自意識過剰」
と、八巻。
「いつもと一緒じゃん。誰も気にしてないよ? 座って待ってて。だって、瑛ちゃんはアンド◯なんだもん」
と、南ちゃん。
「はあ?」
と、眉間をよせた八巻。
しかたなく、僕はイスに座り直した。
「八巻しらない? ベルサイユのば◯。主人公のオスカ◯の影だよ。ぼくがオスカ◯ね」
と、南ちゃん。
「マリーアントワネッ◯だと思うけど」
と、僕。
「ええ?」
と、南ちゃん。
「……あんたらの会話、さっぱりわからん」
と、八巻。
「昔の少女漫画。アニメにもなってるからビデオもあるよ」
と、南ちゃん。
「へぇ」
と、八巻。
「瑛ちゃんちには本部屋があって、ぼく達の遊び場だったの」
と、南ちゃん。
「法律の本とかある場所で遊んで怒られないの?」
と、八巻。
「あ~違う違う。ぼく達は本部屋って呼んでたけど、置いている本は漫画ばっかりだよ」
と、南ちゃん。
「間宮、漫画なんか読むんだ」
と、八巻。
「ゲームはしないけど、漫画はすごく好きだよね」
と、南ちゃん。
「母さんが漫画好きで処分しないから、たくさんあって読んでただけ」
と、僕。
「アンド◯てどんなやつ?」
と、八巻。
「かっこよくて一途」
と、南ちゃん。
「健気で最後に報われたけど」
と、僕。
「けど?」
と、八巻。
「幸せな時間が短かった」
と、僕。
「ええ? それがいいんじゃないの。ラブラブでダラダラ続くよりよっぽどよいよ。あれが『ベル◯ら』なんだよ?」
と、南ちゃん。
「だそうです」
と、僕。
「学園 のアンド◯には幸せな時間がずっと続きますように」
と、八巻が笑った。
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