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第6話
大男は、お粥のようなスープを持ってきてくれた。
いや、大男なんて言ったらあれだな。
この人は、ギリアン=マクマホン。王宮兵団の団長だ。
つまり、大分上の方の上司だ。
この通り、末端の人間にまで気遣いを忘れない人で、団員の誰からも慕われている。
辺境伯、というかなり偉い家の嫡男というのに、偉ぶったところが全くないのもすごい。
王宮兵だけでなく、街中の皆から慕われる、尊敬すべき上司だ。
どうやら、俺は呼び出されたホールで倒れたあと、通りがかった団長に兵舎まで運んでもらったらしい。
それを、優しい味に満たされながら聞く。
ごちそうさまです。
「さっきも言ったが、お前は今日明日は休みだ。きちんと体調を整えろ」
「はい、ありがとうございます」
丁寧にいきさつを説明されたあと、全然命令じゃない声色で、命令形を言われる。
本当に優しい人だ。外見、熊か大鬼 みたいなのになぁ。
ほら、フッと笑った目尻のシワが可愛い。
俺の食べ終わった器を持って、団長は扉を閉めて行った。
それを見送ると、俺はベッドに倒れて、安心した気分で、そのまま寝てしまった。
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