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第12話
話しかけた王宮兵に、事情を聞こうとしたら、責任者の所に案内する、と言われた。
ついていった先にいたのは……。
えっ?
「マクマホン団長!」
「ヴァールグレーンか。」
責任者がいる、と案内された広場で、地図を広げていたのは、マクマホン団長だった。
「巡回任務中の、ヴァールグレーンとネブラです。人手は足りておりますか?」
「助かる。王太子に撒かれた」
「……は?」
とっさに言われた言葉を、聞き逃してしまった。恐ろしい言葉に変換された空耳が、代わりに耳を埋めたのだ。
聞き返すのは失礼だが、確かな情報の上に動かねば、本末転倒だ。
「我々は、お忍びで城下町の視察に来た、王太子の護衛にここに来ているのだが、連絡不備が起きて、彼らから一瞬目を離してしまった。その間に二人は消えた、というわけだ」
……どうやら、空耳ではなかった模様。何やってんだよ。
しかし、
「二人……?」
そう問うと、団長は苦い顔をした。
「王太子、ロベルト・イングヴァル・スリアン様と、その友人ラバセナ=ギーアスターだ」
……!
苦い顔の理由がわかった。そりゃ言いにくいわな。
けどまぁ、仕事には関係ないし。
「お二人とはどの辺りではぐれましたか」
地図を覗き込みながら問えば、軽く目を見張ったあと、すぐに地図の一部を指した。
「このあたりにいらしたのを確認したあと、次の人間に交代したと思い込んで、そのまま次の配置に移動したようだ。しかし、目配せした相手はまだ、王太子たちを確認できていなかった。その間に、移動したようだ」
「なんか、あり得ない失敗ですね」
「……」
らしくない失敗に思わずツッコんでしまった。
護衛時の確認は、口が酸っぱくなるまで繰り返される。ましてや、団長が指揮しているのに。
苦い顔の団長に、何か訳があるのかな、と思う。
……まぁ、まずは王太子の身の安全だ。
「交代したと思い込んだヤツがここ、見逃したヤツはここだ。オレたちは、ここから左右に別れて探しているところだ」
「確かに。どっちかしか行けませんし……ん?」
待てよ? この場所……
「ここ、もしかして、最近、小路ができたところじゃないですか? こっちにある、小さな広場に続いていたはずです」
恋人たちが、隠れ屋的な利用をしていると聞いた。
「何!?」
血色を変える団長。確かに、最新情報は、地図には入ってなかっただろう。
「行ってみましょう」
俺たちは、走り出した。
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