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第17話

見つけた小屋を書き込んだ地図を、団長に見せる。 応援に来てくれた王宮兵と近衛兵、合わせて28名。こちらの5名と合わせて33名での捜索は、王太子から、その友人が拐われたと聞かされてから3時間後に開始された。 「それだけ時間がたっているなら、他の場所もあり得るのではないか?」 そう聞いた近衛兵に、団長は首を振る。 「いや、今日は朝から、城下町と王都下町との間で、不審者をチェックしていたらしい。3時間前からこちら、殿下のご友人が通った様子はない」 「しかし……拐われてすぐでは?」 「我々が、殿下に付き添っている時間よりこちら、だ。特に顔を隠しているものや荷台は、厳しく取り調べているようだな。昨日の大捕物があって、何がなんでも、残党まで根絶やしにするつもりだとか」 うおー。衛兵隊、めちゃめちゃ本気だな。 でも、今朝の様子からして、納得。それじゃあ、城下町から出ていないのは確定だな。 「城下町と、王都下町の間の抜け道が、5ヶ所発見されていて、こちらも今朝から監視済み。そうでなくとも、城壁はずっと巡回しているそうだ。あちらとこちらで隙間なくな」 ……いや、それ異常じゃね? 何? 重要人物逃がしたの? 昨日? 「そんなわけで、不審者の出る隙は、今日はない。ぜったいまだ、この城下町にいるんだ」 ある意味幸運だったかもしれない。 下町にいけば、隠れる所なぞ、ごまんとある。特にスラムなど、ほとんど治外法権と言っていい。あそこに逃げられていたら、なんとかしようとしている間に王都からでさえ逃げられていた。 そうしたら、後を追うのは絶望的。ラバセナは帰ってこられない。 これで俺たちは『もうひとつの治外法権』に集中できる。 つまりは、有力な貴族の手の中、だ。 この森の反対側には、有力な貴族が二家住んでいる。 宰相を歴任してきた、アバークロンビー家。 前王妃を輩出した、ホリングワース家。 どちらの家にも、王太子と変わらぬ年の息子がいる。 ――ラバセナが、手出ししていた息子が。 つまり、動機は十分。 本当に、何考えてたんだろ、元婚約者。

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