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第18話

また、東と西に別れる。 俺はまた東。 見つけた小屋を案内する……のかと思いきや、すでに見つけた小屋と、同じかそうでないかの判断係だそうだ。 そして、森の東奥班は、団長も来る。 どうやら、こちらを本命と睨んでいるようだ。 「この奥だな?」 確認されて、頷く。 ここから奥には小屋はなさそうだった。だから、捜索していない。 けれども小屋ではなかったら。 それは、二人ではカバー出来なかったところだ。 ここに来るまででも、全員で手分けして、見落としがないか確認した。 ただ土を積んであるだけに見えた小山が、大人二人が入れるほどの地下倉庫の入り口だった、というものが見つかってからは、それこそ厳重に警戒しながらの捜索となった。 しかし、それは結果的に無用のものだったと言えよう。 しばらく森を進んで、そろそろ休憩をとるべきか、と言いはじめた頃に、藪にしては少し高い繁みが見えた。 そこを越えた所で休憩を、ということになり……最初に繁みを越えた者が、止まれ、の合図を出した。 全員がその場にとどまり、音を出さないよう潜む。 「繁みの向こうに小屋がある」 伝言で伝わってきたのは、そんな情報だった。 次の人間に正確に伝言を渡してから、繁みから離れるように後退する。 見張りの3人だけを残して、後退した後、作戦会議のために団長のもとに集まった。 「小屋ですか」 「ああ」 どうやら、あの繁みに隠れるほど、崩れかけた小屋があるらしい。 そして、中から物音が聞こえる、と。 「崩れているので、用心が必要だが……この人数なら十分に包囲できるだろう」 「突入する人選だな」 近衛兵たちが話している。 団長は、腕を組んで考え込んでいたが、ちら、と俺を見た。 ん? 何か意見を言うべき? 「……大丈夫か?」 「へ? あ、ハイ」 何の事かよくわからず、適当な返事をしたのが良くなかったのか、顔にシワが寄せられた。 「……拐われたのは、見知った仲だろう。突入隊に入るか?」 ……ああ、なるほど。 突入隊に、元婚約者の俺を入れるべきか、悩んでらしたのか。 さて、どう言うべきか。

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