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第22話
あの騒ぎから、2週間が経った。
元婚約者ラバセナは、けっこうな修羅場になっているそうだ。
実は、誘拐事件の報告書を、事細かく書いたのも原因なのだが、首謀者と共謀者、全てとラバセナは関係を結んでいたことがわかったのだ。
王太子は、軽い浮気は認識していたらしいが、ここまでの規模だとは思っていなかったようで、別れる別れないの修羅場になっている。
「オレとしては、さっさと見切りをつけろと言いたいが」
「そうですよね」
今、マクマホン隊長と、昼食をともにしている。
食堂ではなく、城下町のランチだ。
昨日、空いていたら一緒にと言われて、食堂でみんなと一緒に食べるんだと思って、軽く了承したら、こうなった。
嬉しいけど、緊張する。
ものすごくオシャレで、美味しそうなランチだけれど、味なんてしない。
どうして、二人だけでランチ、なんてことになったんだっけ。
頭を巡らせても、きっかけは思いつかない。
忘れてる頃に何かあるのか、でもあれからもう一ヶ月近くになる。直近と言えばそうだが、最近と言うには、間に起こったことが多すぎる。
余所事に集中しすぎて、隊長の言葉を聞き逃すほどだ。
「体調が悪いのか?」
「いえ、そうではないのですが」
ついに心配されてしまった。だいぶん失礼な態度だったからなぁ。
そう思っていたら、意外な切り口をされた。
「やはり……彼を助けたいか?」
「へ?」
助ける? 誰を?
「曲がりなりにも、長く婚約していた相手だから……」
「あー、それはないです」
苦笑いで、手を振る。
「第一、彼と婚約していた記憶はありません」
そう。俺に実感はない。
彼は『王太子の恋人』なのだ。自分の国の王太子の周囲の人間だから、という以上には、興味がない。
それに、ずいぶん『交遊関係』が広いわりに、俺には、『そういう場面』を体験したらしい『記憶』もない。
清い、というか、間を保った関係を続けていたんだろう。
つまりは、自分とは本当に『なんの関係もない人間』なのだ。
「ただ、あんまりいい印象はないので、一国民としては、王太子とは離れてほしいかな」
「そうか……」
飲み物を口にすれば、隊長からそれ以上の話はなかった。
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