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第3話
予想外の言葉で景を振り返ると、そっぽを向いてベッドに寝転がり、枕に頭を置いて目を閉じている。
何も出来ないまま、ただじっと景を見つめた。
確かにやめてとは言ったけれど、本当に終わりにするの?
景の事だから、俺が嫌がってもエッチな事してくれるって期待してた。
途端に自分が恥ずかしくなる。
焦らすだけ焦らされて今更やめるなんて、とてもじゃないけど出来ない。
心臓は全力疾走した後みたいにバクバク言っているし、股間ははち切れんばかりに主張していて、今すぐにでも触って欲しいのに。
俺は恥も承知で、景の腕を揺さぶった。
「なぁ……景……」
「なぁに?」
景は目を薄く開けてこちらを見ながら微笑んでいる。
まるで俺の気持ちはお見通しのように。
「……」
恥ずかしくて、目を見る事が出来ない。
口を噤んで、景か何か言うのを待った。
「ちゃんと言ってごらん?分かんないよ、僕」
分かってるくせに。ドS。
「やめないで」
「何を?」
(もう、なんやねんっ!こっちは恥ずかしくて死にそうなんに!)
「だからっ、続き……してっ!」
「触ってほしいの?」
コクンと頷くと、景は上半身を起き上がらせて俺の方に自らの右耳を突き出した。
俺は羞恥でおかしくなるくらい、体を熱くさせる。
これは、どこをどんな風に触って欲しいのか詳しく言えって意味だ。
な、なんで?
景がキスマークつけたんじゃないか!
明らかそっちが悪いのに、なんで俺がまた恥ずかしい思いしなくちゃならないの?!
いつか絶対、ギャフンと言わせてやるからな!
半ばヤケになりながら、景の二の腕を掴んで耳元で卑猥な言葉を素早く囁く。
俺は正直こんな事言うのは嫌だけど、景は俺がこういう事を口にするのが興奮するみたいで、言うといつもとても満足そうな顔を見せる。
「……いいよ」
言い終えると、景は今日もやっぱり嬉しそうに口の端を上げながら、俺をベッドに優しく横たわらせた。
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