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第3章-4 Adventure-2
生い茂った木々でだんだんと鬱蒼としてきた廃墟の中を、リアが示す方へと進む。
暫く進むと、幅5mはありそうな名も知らぬ巨木があった。
どうやらここが最終地点らしい。
「リア、ここか?」
「…ん、…おり、る…の…。」
ライナーは地面が柔らかい腐葉土で覆われているのを確認し、これなら転んでもケガはしないだろうと、リアをそっと腕から降ろしてやる。
「リア~?ホントにここ?」
「うーん、書庫っぽい場所ではないわね。」
不思議そうに首を傾けている双子。
そんな双子を少しの間見つめ、何かを考えている風だったリアだが、おもむろにクレアの右手を取り巨木へ向けて歩き出した。
「あー、ズルいー!僕もーっ!」
カルトは叫ぶと、クレアとは反対側の左手を繋いで一緒に歩き出す。
そうしてやって来た巨木の裏側。
そこには大きな “うろ” があり、中には下へと続く階段が続いている。
「…降りる?」
右手を繋いだクレアが聞く。
「…えーっ?…でも暗いよっ!」
「ばかね、その辺の小枝に火を付けて松明にして持っていけばいいでしょ。」
「えー?!コレも木だよ?危ないよ!一緒に燃えちゃうよ!」
左手を繋いだカルトは姉の意見には反対なようだ。
そんな二人を見て、
「…しぇら。」
リアが短くペガサスを呼んだ途端、主の希望をすぐに察したペガサスの角の部分から、幾つかの光の玉が発せられ階段へと飛んでゆく。
等間隔で配置されたその光により、すぐに中は明るく照らし出された。
「わ~お!さっすがー!」
「これで問題ないわね。さぁ、降りるわよ。」
2人がリアの手を繋いだまま階段を降りようとしたその時。
リアの両脇に青く美しい鱗を持った大きな手が差し込まれ、ふわりと抱き上げられた。
当然双子と繋いでいた手は離れ、リアは先程までと同じように、ライナーの腕の中にしっかりと納められている。
「…問題ないわけあるか。バカ双子。こんな何があるか分からない場所に、お前達3人だけを行かせる訳ないだろう。」
そうしてリアを大切に抱き上げたライナーは、リアを抱いていない方の手で双子の頭を軽く小突いた。
「えー、だって明るくなったし!」
「そうよ、ペガサスだっているし!」
「…そういう問題じゃない。とにかくお前たちは俺の後ろだ。」
それだけ言うと、ライナーはリアを抱き上げたまま階段を下りてゆく。
「ちょ、ちょっと!ライ兄、待ってよ~!」
「もう!ライナーの心配性!」
文句は色々あるようだが、双子も続いて降りて行った。
Adventure-2 END
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