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第4章-2 New fate-1
ランウェイル大陸の東に広がる、北の大国・カルフィン共和国。
他の4大国と比べると人口は600万人を少し超えた程度で、一番少ない。
しかし、国民の8割以上が魔力を持って生まれて来ると言う、世界一の魔法国家であり、召喚士の数も他国に比べ極端に多い。
人口が1800万人を超え突出して多いが、逆に魔術師の数は人口の1%に満たないレイゴット帝国とは、正反対の特徴を持った国だ。
そんなカルフィン共和国の中でも、最高峰に当たる世界一の魔術学校が、王立カルフィール魔法学校である。
大陸史:1418年 水の月・7日。
今年入学する者の中に、王立魔術研究所の顧問から推薦を受けた者がいるという事は、かなり噂になっていた。
名前すら公開されていないが、どんな人物なのかと話題中の話題である。
彼ではないか?と噂される人物は何人かいたが、どれも決め手に欠け、結局のところ分かっていない。
そんな中、新入生の入寮期限である本日、しかも締め切り時間ギリギリのタイミングでやって来た新入生が2人。
この名門中の名門である、王立カルフィール魔法学校へ入学するに当たり、こんなにギリギリでやって来るとは、素晴らしく良い度胸である。
だが、視線を奪われずにはいられない。
一人は身長190cmを超えていそうな長身に、端正に整った容姿、襟足の一部を長く伸ばした黒髪は、項の辺りで1本にまとめてある。
切れ長の青い瞳は鋭く印象的で、新入生とは言っても1年生では無いだろう。
高学年からの編入はとても珍しいが、もし彼が噂の人物なら、それだけ優秀だという事なので頷ける。
そして長身の彼以上に目を奪うもう一人。
長身の彼に大切に守られるように抱き上げられた、小さな少年。
小さく華奢な体を縁取る、長く真っ直ぐに伸びるプラチナブロンドは、自ら光を発しているかの様に煌めき、真っ白で柔らかそうな肌に、薄く色着いた円い頬と愛らしく小さな唇。
長い睫に飾られた極上のアメジストアイズ。
どこをどの角度から見ても全て極上と言う他ないパーツが、完全なる黄金律で配置されているといっても過言ではない、絶対的な美。
抱き上げ、抱き着き、寄り添う2人の姿は、まるで美しい一枚の絵の様だった…と、後に彼らに友人の一人として認められた“サーガ・リンクス”は語った。
New fate 1 END
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