20 / 163

第4章ー6 New fate-5 Side:ウェルザ・コナー

リア・クランツとライナー・クランツ。 クランツ兄弟が入寮してまだ4日目。 だというのに、今ではこの兄弟の事を知らぬ生徒はいないという程、2人は有名人になっていた。 何処にいても、何をやっても注目の的だ。 まず目立つ。 2人ともが際立つ容姿をしている事は大きな理由の一つなのだけれど、それだけじゃない。 …ライナーさんは…何と言うか…リア君だけには、いつも愛情全開、フルスロットル状態で接している。 移動時は必ずライナーさんがリア君を抱き上げて歩く。 ライナーさんの首にギュッ、と抱き付いているリア君は可愛い。 同い年とは思えない位、凄く可愛い。 …だけど。 だ・け・ど!! リア君は規格外に美人さんで可愛いから構いたいのは分かるさ。 気持ちはすごーく分かるんだけど! 時・場所・人目。 全く無視して、いちゃいちゃ。チュッ、チュッ。 ちなみに、このチューは、頬っぺたはもちろん、おでこ、髪の毛、唇!どこでもお構いナシだ。 特に唇! 「この年でマウストゥマウスする兄弟なんて初めて見た~!」 とはサーガのセリフだが、僕だって初めてだ。 そして、過保護だ。 …限りなく、物凄く、物凄く!過保護だ。 座る時はお膝抱っこは当たり前。 ダイニングルームの一番端に座り、中央に背を向ける形で座ったライナーさんの膝にすっぽりと抱え込まれて、多分リア君の姿は周りに座る生徒達からは、煌めくプラチナブロンドが時折揺れて見える他は、全く見えないだろう。 この形になったのは、リア君を不躾な視線から守るためと、もう一つ。 余計な物を見せないための配慮だ。 寮での食事は朝・夜の2回。 どちらもビュッフェ形式だ。 入寮翌日。 初めてダイニングルームに行った際、そこに並べられた七面鳥の丸焼きを見て、リア君はライナーさんの腕の中で動かなくなった。 文字通りお人形さんの様に固まってしまったリア君にライナーさんが呼びかけた途端、意識を失ってしまった。 後から聞いた話、リア君たちは肉類を見るのさえ初めてだと言う位、生粋のベジタリアンだったそうだ。 「オニーサン、葉っぱとかだけでよくそこまで伸びたねぇ。」 と、サーガは余計な発言をして、ライナーさんの怒りを買っていた。 何にせよ、この事件を最初に、クランツ兄弟の世間知らず振りと、意外と天然なライナーさんの発言に、僕、ウェルザ・コナーは振り回され続ける事になるのだった。 New fate-5 Side:Welza Connor END

ともだちにシェアしよう!