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第4章ー10 進学始業式-4 ◇リア

ライナーの元気が無いのがわかる。 …ここへ来ていっぱい、…びっくり、をしたから、…かな…? 小さく聞こえた溜息に、リアはライナーの肩口から顔を上げた。 お膝に抱っこされた状態でも随分と上にあるライナーの顔をじっ、と見つめると、優しく頬を撫でてくれた後、おでこに「おはよう」のキスをくれた。 「…ん…お、はよ。…」 リアも少し伸びあがってライナーの頬っぺに、ちゅ、とキスを返したら、優しく笑ってくれたが、やっぱりいつもより元気がない。 「……ライナー、…つか…れ、た…?……リア、おも、い…?」 「…大丈夫だ。それにリアは軽過ぎる位だぞ。」 大きな手で頭を撫でてくれるのも、優しい目や声はいつもと変わらないのに、リアが大好きなライナー独特の腕のひらひら(鱗)は消され、髪も綺麗な青では無く、今は真っ黒だ。 それに加えて、今は“セイフク”という変わった衣装を身に着けている。 リアも着せられているソレは、いつも着ていた柔らかい生成の肌着と膝丈のチュニック、下はレギンスといった動きやすい物とは全く異なっていた。 カチコチした生地に、小さな“ぼたん”も一杯ついていて、リアはとても一人じゃ着れそうにない。 ライナーも指が大きいから“ぼたん”は大変だって、言ってた。 ちなみに今朝は2人ともボタンの部分は、半年前からリアの新しいお友達兼召喚獣になった、聖獣ケット・シーのエスポワールにやってもらっている。 白いシャツの首元に結ぶ紺色のリボンだけリアが自分でやったが、来年からは、リボンではなくライナーが付けている“ねくたい”という物を結ぶらしい。 結び方がとっても難しいらしく、朝、ライナーも頑張っていたけれど、「面倒だ。」って言って、首にかけて緩く結んだだけになっている。 今はリアの丁度目の前辺りにある、ライナーのネクタイをクルクルと巻いたり、リボンにして遊んでいると、リアはふと、周りにいる人間達とは何か違う視線を感じて、顔を上げた。 …だぁれ…? 「リア?どうした?」 ……ど、こ……? 「…リア?」 「……わなん、ない。…けど、だれ…か、……みてた、の…。」 リアの言葉にライナーは素早く周りを見渡し、リアの頭からストールを掛け直して、抱きしめた。 その直後、式開始5分前のチャイムが鳴った。 進学始業式4 ◇リア

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