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第4章ー16 召喚士クラス-2 ◇Side:フィランド
「あ~!もうっ!森の小道に逃げ込まれちゃった~!あそこは色んなモノで一杯だから、上手く“目”が働かないんだよ~。」
相変わらず一人で煩くしているルシェ。
…まあ、あの小道には確かに色んな属性のモノが住み着いていて、魔術は安定させにくいからな。
「要するに今日はそれまで、という事だな?…ならばその机に山積みになっているモノ(書類)を片付けろ。」
「またー、興味ないような事言って~。」
「ああ、ない。」
「ふ~ん。…じゃあ、僕が全力を以ってしても彼らの自室の様子が全く見えなかった、って言っても?」
「…何だと?」
「だからそのままの意味だって。すっごく強力な結界が張ってあるんだよね。アルプの力も使って突破しようとしても、全く歯が立たなかった。…ね?ちょっと興味出てきたでしょ?」
「…。」
契約型の召喚士であるルシェの契約聖獣・アルプと言えば、幻影や結界等についてはかなり強い力を持っていたはずだ。
そのアルプにも破れない程の結界があるという事は、その兄弟のどちらかがアルプ以上の力を持つ聖獣を従えているという事か。
この話はカルラも初耳だったらしく、ポーカーフェイスが崩れ、珍しく驚いた顔をしている。
…面白い。
「…確か兄の方は俺と同じ一時契約型だったな?…よし。明日は久しぶりにクラスに顔を出すぞ。」
「賛成―!僕もこっそり下のクラス見に行っちゃおーっと!」
そしてこの後の出会いこそ、俺にとって至上の物となる事を、俺はまだ知らなかった。
召喚士クラス2 ◇Side:Firando Ipsum END
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