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第4章ー17 召喚士クラス-3

召喚クラス-3 一方、寮の自室まで戻って来たリアとライナーは、半ば無理やり「親睦会」に付き合わされていた。 ウェルザご自慢のブレンドティーは、カモミールとレモングラスをベースにした、リラックス効果のあるお茶がセレクトされた。 それはもちろん、人見知りのリアの為でもあるが、リア達と同じく今年から召喚Aクラスに入る2人の下級生の為でもある。 下級生の内1人は新入生で、もう一人は2年への編入生だ。 ちなみに召喚Aクラスの生徒数は、1~3年クラス(召A-1)が7名、4~6年クラス(召A-2)が16名。 召喚Bクラスは、1~3年クラス(召B-1)が10名、4~6年クラス(召B-2)が20名となっている。 とにかく召喚クラスは人数が少ないため、タイプ別に分けた全学年合同授業も多く、学園祭等のイベントも合同クラスとして参加する事になっている。 このような事を理由に、召A-1のクラス委員でもあるウェルザは、新顔を集めての親睦会を開く事にしたらしい。 しかし。 「…。」 「…。」 「…。」 人間嫌いのライナーと、人見知りでライナーの肩口にベッタリ抱き付いて顔すら見せないリア、そしてカチコチに緊張している下級生2人。 このメンバーで話が盛り上がるはずが無かった。 「あ、あれ?…何?この沈黙。…ね?誰か喋ろうよ?」 「そっ、そうだよ。ほら、まずはお茶でも飲んで?リラックス効果のあるバーブティだから、落ち着くよ。」 ウェルザが言うのに、下級生2人はおずおずとカップに手を伸ばし、ライナーは己にしがみ付いているリアに優しく声をかける。 「リーア?お茶飲んでみるか?それとも精霊達からもらった果物食べるか?」 「精霊からもらった、…果物…?」 思わず呟いたサーガの言葉に、実は散策道の出口であった時から全員がずっと気になっていたが、あえて誰も口にしなかった3つの浮遊物の内の1つ、大量の果物に全員の視線が集まる。 ちなみに残りの2つは光る浮遊物なので、間違いなく召喚獣だという事は分かっていた。 それも1体は強烈な存在感を放っており、おそらくは上級に位置する聖獣か精霊。 必然的に視線を集める事になったクランツ兄弟だが、サーガ達の視線など一切気にした風もなく、2人の世界を作り上げている。 「リーア?ほら、顔上げろ。せっかくの花冠がぐちゃぐちゃになっちまうぞ?」 優しく言い聞かせ、リアが顔を上げると、いい子だ、と褒めてやり、その柔らかそうな頬を撫でながら小さな唇に軽くキスをしている。 ナチュラルにいちゃつく兄弟の姿を、新顔2人は顔を真っ赤にして、そしてウェルザは生暖かい目で見守っていたが、最後の一人は… ウェルザは隣にいたサーガからそっと視線を逸らした。 変わり果てた友人の姿を見ていられなかったからである。 美しい兄弟の舞台のワンシーンを思わせるやり取りに、綺麗なモノ好きを日々豪語するサーガは大興奮していた。 かくして残念な美形となり果てたサーガは、両手を重ねて口元をしっかりと覆い、うっかりすると叫んでしまいそうな声だとか何だとかの色々を我慢しながら、目だけは2人をガン見している。 荒くなった鼻息が気持ち悪い。 そんなサーガに気付いた後輩2人も、若干引き気味である。 これでは親睦にならないと、仕方なくウェルザは友人を正気に戻すべく行動に出た。 そしてどこからか持ってきた雑誌を丸めて、サーガの後頭部を思い切りよく叩いた。 「…ッ、…いっ、てぇーーーっ!!!」 その場にしゃがみ込み若干涙目になって叫ぶサーガに、リアはもちろん、珍しくライナーまでが驚いている。 「…目が覚めた?もう!後輩たちの前でだらしない顔見せないでよね!」 そうしてウェルザは蹲っているサーガは放置したまま、固まってしまった後輩とリア、そして若干面白そうに見ていたライナーに改めて向き直る。 「…えっと、変なとこ見せてごめんね。うーんと何だっけ?…あ、そうそう、その果物の話だった。」 改めて見ると、桃が10個くらいと葡萄が5~6房、それぞれ互いにぶつからない様、少しずつ間隔を開けた状態で浮かんでいる。 「…講堂出るときは無かったよね?…まさかあの森の小道で貰って来たの?」 召喚クラス-3 END

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