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第4章ー22 閑話休題-2 Side:ライナー
数時間後。
腕辺りに柔らかい感触を感じて目が覚めた。
「………リア?」
案の定、先に起きていたリアが寝ころんだまま、本体に戻った俺の腕に生えた鱗をぺたぺたと言うか、ふにふにと言うか、…とにかく鱗を触っていた。
「ライナー、おは、よ。」
俺が目覚めた事に気付き一旦手を止めたリアが、にこっ、と可愛く笑い、伸びあがってキスをくれた。
おれも若干寝ぼけながら、額にキスを返して軽く頭を撫でてやる。
先程までしていた花冠は眠る前に外してやっており、今は大切にベッド横のチェストに置いてある。
おはようの挨拶をして満足したリアは、また俺の腕…鱗に夢中だ。
以前から、昼寝から覚めた時のリアはご機嫌なのだが、今日はそれに輪をかけてにこにこと、本当に愛らしい。
まあ、起きたらリアの大好きな「青のひらひら」が目の前にあったんだからな。
そのままリアの好きにさせてやりながら、俺は時間を確認する。
……14:20か。
おれが寝たのが13:30頃だったから、…結構寝たな。
…取り敢えず、起きるか。
俺はリアの手を優しく外して起き上がると、続いてリアも起き上がらせた。
そうして一緒に起きたエスティにリアのボタンを外してやるように言い、ワードローブへ行きリアの着替えを出してやる。
今日は薄ピンクのチュニックワンピースに、濃い紫色のレギンスを選んだ。
肌さ触りの良いチュニックは、もちろんメイテ姉の手による物で、七分袖で胸のラインに切替えがあり、裾に向かって幅が広がるタイプの物だ。
メイテ姉はこの約半年の間で、人間社会で生活する俺とリアの為に、人間達が着ているような服を2人分合せて50着以上作ってくれた。
今選んだこれもその1つで、今日初めてリアに着せる物だ。
これを着たリアはさぞ可愛いらしいだろう…。
俺がそんな事をぼんやりと考えている間に、シャツを脱いだリアが、ぴとり、と腰に張り付き、俺が選んだ服を覗き込む。
「…おっ?…っと、リア、脱げたのか?なら、これを着ような。」
そう言ってリアにバンザイをさせて、チュニックを頭から被せてやる。
細い脚に深紫のレギンスを履かせてやったら終わりだ。
……ああ、何て可愛い、俺のリア!
ここまで来たら完璧に仕上げようと、俺はクレアお手製の、「リア・ヘアスタイル・マニュアル◇総集編」を開き、1つ1つ見て行く。
…ここはやっぱりシンプルにツインテールにしておくか。
「リア、ここに座ってな。」
ちなみに、リアは前髪を作っていない。
もちろん、前髪を作ったリアも見てみたいという意見も多くあったが、俺も含め家族の誰もが、リアのきらきらと美しいプラチナブロンドに鋏を入れる勇気が持てず、今に至っている。
俺は慎重にリアのサラサラの髪をセンターで分け、片方ずつ耳の斜め上辺りで纏めてやる。
最後にリアの瞳と同じ色のリボンを飾ってやって完成だ。
俺の手が止まったのを感じたリアが、くるりと振り向いた。
「…ライナー、終わり…?」
「…ああ、出来たぞ。でもちょっと待ってろ、リア。そのまま、な?」
…………ナイス、俺!
俺は急いで記録玉に魔力を注ぎ、可愛いリアの姿を記録する。
このたった4日間でもかなり貯まった記録は、今度の休みに家へ帰る時の最高の土産になるだろう。
リアの撮影会は、サーガ達が部屋へ戻って来る気配を感じたペガサスが、俺に擬態を促すまで続いたのだった。
閑話休題 2 ◇Side:Liner
END
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