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第4章ー23 閑話休題-3 Side:ウェルザ

ばたん、と目の前でドアが閉められたのは初めてじゃない。 でも、今日のは今までの明らかな拒絶とは違う。 まだ全面的な信頼を得られているとは思わないが、こちらが呼びかければ、取り敢えずこの扉を開いてはくれるだろうという安心感がある。 隣で少し寂しそうにしているリーナにも、「リア君が起きたらまた遊べるよ」と、今なら自信をもっていう事ができる事に、ウェルザは感動していた。 「…んー、少ーしは、懐いてくれたみたいね~。うん、良い傾向、良い傾向!リアちゃんだけじゃなくて、あの怖いオニーサンの方も、フェルト達にはビックリする位優しかったし。」 「…うん。それには僕も驚いた。ライナーさんはリア君以外どうでもいい、って感じだったから、最悪リーナ達の事も鬱陶しがられるかも、とかって思ってたし。」 「うーん、それはアレじゃない?“外”(校外)でアホな召喚士ばかり見て来たクチ!だから召喚士は嫌い、みたいな?でも、俺達はそいつ等とは違う、ってちょっとは信じてくれたんかもね。」 「外の召喚士…。そうかもね。最近はカルフィン国内にも、召喚獣との共存の仕方じゃなくて、支配の仕方を教える学校が増えて来てる、って父さんが言ってた。」 …実際“外”には召喚獣を下僕のように扱う召喚士は多い。 彼らなら、召喚獣とティータイムなんて考えもしないだろうし、もし仮にリア君達が“そういう”召喚士ばかりを見て来たのなら、僕達(召喚士)に対して嫌悪感を持っていたっていうのは理解できる。 ましてや、あれだけ精霊に好かれる子なら、自分の聖獣だって凄く大切にしているだろうし。 「……それにしても、リアちゃん可愛かったよねぇ。あんな満面の笑顔出来たんだ~って感じだし。…ウェルザも強烈な攻撃受けてたもんねぇ!」 あんなに取り乱すウェルザは初めて見たと、サーガはニヤニヤ笑っている。 「!!…あっ、あれはっ!!だって、あんなっ…あんな……////」 ……あんな風にリア君の前でしゃがみ込んでしまうなんて…、…僕だって穴があったら入りたい位には恥ずかしかったと思ってるんだから、あまり蒸し返さないでほしい。 「はいはい、そうね。キョーレツだったよね~。取り敢えずホラ、ライナーさん直々にお願いされたお茶を淹れてきなって。んで、淹れ終ったら俺達は昼飯へレッツゴー!」 こんな感じで、一時はどうなる事かと思った“親睦会”は、予想外の収穫をもって終了した。 リア君達の事に関しては、まだ不思議な点や疑問点も沢山あるけれど、いつかもっと僕達を信頼してくれた時には、話してくれるかもしれない。 とりあえず今はサーガの言う通り、リア君が喜んでくれるように精一杯心を込めたお茶を淹れておくとしよう。 閑話休題 3 ◇Side:Welza Connor END

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