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第4章ー50 異端者・再び-3
…気を失ったか…。
あの傷ではまず助からないだろうが、元々殺そうと思っていた位の奴なのでライナーにはどうでも良い事だ。
ただ、誰かが死ぬ場面をリアには見せたくは無かった。
…さて。どうするか…
思案しながら片手間にまたトロールを魔術で倒し、いよいよ接近して来たガーゴイルの眉間にトライデントを思い切り突き刺して倒した。
ペガサスの結界のお蔭で防御の必要性が全くない上、トロールやガーゴイル程度の魔物であれば、マルシエでも何度も遭遇していたし、弱点も分かっている為、ライナーにとっては簡単なものだ。
そしてここでようやく教師達が到着した。
このような場所に出現するとは全く予想しなかったトロールとガーゴイルの群れに、教師達はまず驚愕し、更に血まみれで倒れているフィランド・イプサムを発見すると、慌てて駆け寄った。
5名いた教師の内、薬学講師のイグナー・セレスが回復呪文を唱え、その隣では一人の教師が必死でフィランドに呼びかけているが、反応は無い。
それを横目に見ながら、ライナーは本日5匹目のトロールを倒した。
瞬間響き渡ったトロールの断末魔に、我に返ったマークを始めとした戦闘タイプの教師3人が戦線に加わる。
既に絶命しているトロール5体とガーゴイル1体を見て、戦闘部顧問のマジェスと、同じく戦闘部のコーチでもある寮監のハーディ・ロダは驚きに目を見張る。
「……これはお前が一人でヤッたのか!?」
「…そんな事よりあいつを助けたいのなら、相当に能力の高い浄化師に診せるか、早くあの腕を切り落としてやるんだな。」
「…!!なっ?!どういう事だいっ?!」
マークはライナーに掴み掛らんばかりに詰め寄った。
その剣幕に対しライナーはふう、と息を吐くと、おもむろにトライデントを魔物の群れの中央部目がけて思いっきり投げた。
するとトライデントを中心に一斉に電撃が放たれ、魔物達を囲った。
「…戦場で敵から目を話すとは余裕だな。…なら後はアンタ達に任せてやるよ。…分かっているだろうが、一匹でもココを通したらゲームオーバーだ。」
!!!
群れを一時的な結界に閉じ込めたライナーは、氷の様に冷たい微笑みと冷めた瞳で、教師達を眺めながら告げた。
「…ああ、それと。奴の腕を切り落とした方が良いのは本当だ。あの傷はガーゴイルにやられた物だからな。普通の浄化魔法や回復魔法では治らない。傷口からどんどん毒が広がってやがて死ぬ。」
それだけ言うと、ライナーは学園の結界ラインへと歩き出す。
「そんなっ!…ちょっ、ライナー君、待って!…リア君は?…リア君のペガサスならそれ位……」
ヒュン!!
!!!
リアとペガサスの名前を出した途端、マークの頬ギリギリを氷の刃がかすめた。
「…あいつがリアに何をしたか、アンタには話したはずだ。…アンタが今やるべきなのは、あいつ等を学園の結界内に入れない事だ。…それ以上無駄口を叩くなら、その柔肌、魔物より先に俺が切り裂いてやる。」
そうしてライナーは、魔物の群れを電撃で麻痺させていたトライデントを手元に呼び戻し、始まりの合図を告げた。
「ゲームスタートだ。」
異端者・再び-3 END
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