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第5章ー2 新しい日々-1

◇Side:ライナー 水の神殿での話し合いから約20日が経った。 あの後、どう話を付けたのかは知らないが、フィランド・イプサムも俺同様、翌日からリアのクラスメイトになっていた。 席順で揉めたが、騎士である事の権限をフルに使ったあいつは、結局最後尾の窓側から奴、リア+俺(俺たちは二人で1つ)と並び、その前列にサーガとウェルザが座る事で決着がついた。 また、更に色々ひと悶着あったものの、寮の部屋もそれまでフィランドが一人で使っていた部屋に俺とリアが入る形で落ち着いた。 もちろん奴と同室になったとて、個室は俺とリアが同じ部屋を使っている。 俺達とは真逆のカルチャーショックを受けていっぱいいっぱいになっている今のアイツに、リアの面倒なんざ見させられるもんか。 それに。 例えそのショックから立ち直ったとしても、俺にはこのポジションを譲る気は全く無い。 夕方からの手合せで俺から一本でも取れる様になったら、…まあ、月1回位ならリアと一緒に寝る権利をやってもいいが。 リアはと言えば、奴に聖剣フランベルジュとその精霊が宿っているせいもあり、不思議なくらい自然にフィランドを受け入れていた。 むしろ人間から精霊に近い者に変化したことに興味があるらしく、拙い言葉で色々質問しては、奴を青くさせたり赤くさせてりを繰り返していた。 特に昨晩は傑作だった。 リアがエスティと“お絵かき”をして遊んでいた時の事。 リアが描いたオレンジ色の楕円形の絵を見たフィランドが、 「それは何を描いたんだ?」 と聞き、リアは元気に 「エスティのたまご~」 と答えていた。しかしふと疑問に思ったのか、 「フィランド…は、なにいろ、の、たまご?」 そう聞かれ、その時初めて俺達が卵生である事を知った奴が、「人間は卵から生まれるのではない」、と言ってしまったがために、墓穴を掘った。 そんな事を言われれば当然。 「……にんげん、…どう、やって、うまれ…る、の……?」 こう聞かれるに決まっている。 「………ッ……////」 大きな目を更に開き、驚いた顔をしてフィランドを見つめるリアに、答えに窮した奴だが、それでも何か答えようとした瞬間、シェラが遮った。 『…主。人間の生態はとても複雑で難しいのです。…なのでもう少し大人になってからお話しましょうね。』 その場は何とかリアを納得させたものの、その後フィランドは、余計なことを話すなとシェラにキツく説教されていた。 …馬鹿な奴だ。 …だが必死にリアと交流をもって理解しようとする姿勢は、リアと初めて会った頃の自分にとてもよく似ていて、無下にできない面もある。 認めたくない事実だが、俺も奴をか“身内”として見始めているのかも知れない。 新しい日々-1 Side:Liner END

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