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第5章ー18 忘れ去られた国-12
船旅2日目・朝。
マスターベッドルームでキリエと一緒に目覚めたリアは、今日はキリエに“水平さん”のお洋服を着せてもらっている。
ちなみに、エスティとお揃いだ。
リアを抱っこして「今日も可愛いね」と、キリエから沢山のキスをもらったリアは、朝から楽しそうにキャッキャッと愛らしさ全開だ。
髪は後でライナーにやってもらう事にして、取り敢えずキリエは可愛いリアを披露すべく、リアを抱いたままリビングに続くドアを開けた。
すでに全員起きており、リア達を待っていたようだ。
「皆、おはよう。…待たせたてすまないね。……どうだい?今日のリアも可愛いだろう?」
そう言うとキリエは、片腕に抱いていたリアを皆に披露する。
「ああ、よく似合っている。エスティともお揃いで良かったな、リア。」
とは、ライナー。
「……リアは何を着ても似合うな…///」
少し照れたようにフィランド。
「……可愛らしい水平さんですね。」
表情を変えないようにしているが、薄っすら頬が染まっているカルラ。
皆から褒めてもらったリアはとても嬉しそうだ。
「…みんな、…おはよ、……ね…。」
そうしてキリエから降ろしてもらい、順番におはようのキスをして、朝の挨拶は完了した。
朝食はダイニングでブッフェスタイルになっている。
これだけの人数しかいない為、今回は特別に乗組員たちも同じダイニングで食事をすることになっているが、朝:8時~9時、昼:12時~13時、夜:18時~19時の間はリア達専用の時間になっており、この時間帯には肉料理等は表に出さない様、配慮してもらった。
その為、ブッフェ台の殆どが果物やサラダ、卵やバターをはじめとした動物性食材を使っていないスイーツ等で占められている。
カルラに関しては、特に肉食派と言う訳ではないが、食べたければ専用時間外に一人で食べるか、カウンターで個別に注文すれば、見た目が分かりにくいハムやソーセージ、卵料理等を出してくれる。
8時を少し過ぎた頃。
今日は初めての乗り物に好奇心いっぱいで、自分で歩きたいと希望したリアが、ライナーと手を繋いでダイニングへやって来た。
もちろんキリエやフィランド、カルラも一緒だ。
広いブッフェ台に並ぶ色とりどりのサラダ類や、美味しそうに色付いた沢山の果物を見つけたリアは、思わずライナーの大きな手を、ぎゅう、と握りしめて目を輝かせている。
「どれでも好きな物を好きなだけ選べるからな。」
フィランドの説明に頬を染めて喜んだリアは、ライナーと繋いだ手を引っ張る様にブッフェ台へ向かう。
「……ね、ライナー、…あっち、……いこ。」
そうしてリアがライナーに取ってもらったのは、一番に目についた黄色と白のエディブルフラワーとレタス、そして人参スティックだ。
それらをリアが食べられる分だけ取ってやったライナーは、最後にベジタリアン用のりんご酢ベースのドレッシングを掛けてやる。
ライナーは一度テーブルに戻りキリエにリアを任せると、リアと一緒に食べられるように、適当に幾つか果物を盛った。
そのリアはと言えば。
キリエの膝に抱っこされ、一緒に食事を始めていた。
嬉しそうにキリエを振り向き、子供用の小さなフォークに刺した黄色いエディブルフラワーを差し出しているリア。
キリエはそれをパクリと食べると、期待を込めてキリエの感想を待っている愛しい子供に、
「とても美味しいよ、リア。いいのを選んで来たね。」
そう言ってリアの柔らかい頬にちゅっ、とキスをした。
そうして今度はキリエが、リアが大好きな甘いかぼちゃのサラダを1口、リアの小さな口に運んでやっている。
「……あま、い…ね。…にぃ、…あり、がと……///」
美味しそうにかぼちゃをもぐもぐしたリアも、キリエにお礼のキスを返している。
その様子を見ていたフィランドとカルラは。
「「………。」」
「……学校でのライナー・クランツはまだ可愛い方だったのだな。」
「…ああ。家族全員あんな感じだったな。ライナーが言うには、リアと離れているせいもあるらしいが…。」
…自分もいっそ、あそこまで突き抜ける事が出来たら、もっとリアに懐いてもらえるのだろうか?
そんな風に考えてしまうフィランドだった。
忘れ去られた国12 END
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