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第6章ー13 西の大国-13
じぃぃぃぃーーーーーっ、と。
音がしそうなほど。
ライナーの右腕に抱っこされたままルピタスの神殿へ帰る途中、リアはその紫の大きな瞳で、両手に持った赤い石を見つめていた。
今はライナーの左肩に乗っているエスティも、そんなリアにつられ、同じようにリアの手にある石を不思議そうにのぞき込んでいる。
「……。」
「………。」
「…………。」
「…リア、何してるニャ?」
しばらくは大人しくしていたが、我慢できなくなったのか、リアの首筋にすり寄りながら訪ねるエスティに、リアはどこかぼんやりと、しかし視線は石から外さないまま、誰にともなくつぶやいた。
「……ん。…リア、この子、に、……ユグ、あげて…み、よ…う、かな……。」
!!!!
ライナーとペガサスがその言葉に瞬時に反応したが、既に遅い。
リアの言葉が終るのを待たず、その“無意識の力”はすでに石に向かって放たれていた。
そうして。
「……あっ……。」
リアが小さく声を上げた時。
確かに二つであったはずの石は、一つの物になっていた。
しかも驚いたことに、二つであった時には感じなかった炎の魔力を放っていたのである。
その石から感じる力はわずかな物であるが、ライナーとペガサスは石自体のキャパの強大さをしっかりと感じ取っていた。
『…驚きましたね。これは魔石と呼べる類のものです。今はまだユグが枯渇しているため、それ程の力は感じませんが、この石が真の力を取り戻した時、相当な力を持った魔石となるでしょう。』
シェラの言葉にライナーは大きく息をつく。
…ったく。何で魔石があんな場所に転がってるんだよ…。
…ましてや、それをリアが見つけるなんて…
『とにかく主、ソレは一旦私が封印します。このままではその石は貴方からどんどんユグを吸い取ってしまうでしょう。そんなことは私もイプピアーラの子も絶対に許容できませんからね。』
「ああ、そうしてくれ、シェラ。……心配するな、リア。何も壊す訳じゃないからな。リアがもう少し大きくなって、ユグがちゃんと扱えるようになったら封印を解いてもらえばいい。」
石を封印すると聞かされ、少し不安そうにしていたリアであるが、シェラから諭され、ライナーからもリアはいい子だからそれまで我慢できるな?と優しく頭を撫でられ、何とか納得したようだ。
封印はその場で速やかに行われた。
直径5×8センチくらいの楕円形の魔石を覆うように、ペガサスが作った球体状の結界内に閉じ込め封印し、今は一見、直径10センチほどの水晶玉のようになっていた。
本来魔石等、簡単に封印できるような物ではないが、今は魔石が力を失っている為、このように簡単に封印することが出来たのである。
封印玉は近々マルシエへ持っていくことになるだろう。
西の大国13 END
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