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第2話

「あ~どうやって練習しよう……」 「……試してやろっか?」  マンガをその場に置き、そのままの勢いで響をベッドの上に押し倒す。それから両手を押し付けまっすぐ顔を見下ろした。 「え?」 「こういうのってさ、一旦試してみりゃリアリティ出ると思わね?」 「試してって、あ、土師(はじ)くん……んっ」 「本当に喘いでみれば、リアルな演技出来ると思うんだけど」  絵に頼らず声だけで本当に感じているように聞こえなきゃ、演技として成り立たないし、せっかく声質で選んでくれた人にも申し訳ないと思うんだけど。……という建前も、割と本気。何事も、実際体験しているのとしていないのとじゃ大きく違うと思う。  ただ、もちろんそれが全部じゃない。 「お前がイヤなら、やめてもいいよ?」  一応の問いかけに返ってきたのは、窺うような視線。 「……演技の練習?」 「一人で練習したいならそれでもいいけど」 「……二人でする」  きっと響もタイミングを見計らってたんだろうっていう予想はたぶん当たり。  俺の首に腕を巻きつけ引き寄せる仕草は渋々って感じじゃとてもなくて、その勢いに任せて唇を塞いで腰元に手をやった。  確か最初のエッチシーンは、性感帯である尻尾の根元を触られ、思わず感じて喘いでしまい、そこからエッチに突入って感じだった。どうせだったらそれをなぞろう。 「ん、あ……っ」 「声抑えたら練習になんねぇだろ」  腰をなぞり、そのままするりと下着ごと脱がしてやると、控えめな声が聞こえたからそんな風に囁いた。 「やっ、待って」 「そんなセリフあったか?」 「……にゃう」 「こっちは俺に任せて、お前はちゃんと自分がどう喘いでるか研究しとけ」 「そ、そんなのムリ……!」 「じゃなくて?」 「~~~~もっとしてほしいにゃん!」 「あのキャラってそんなヤケな感じだったっけ?」 「……俺はかわいいにゃんこ、かわいいにゃんこ」  演技の練習っていうのは建前でも嘘じゃない。自己暗示のように呟きを繰り返す響の体に追い立てるように指を滑らせると、うにゃあんと鳴かれて。 「してほしくてたまらない、の、にゃあ」  ……一瞬、その声とあのキャラがしっかり結びついて聞こえて、確かにこいつが選ばれたのは間違いじゃなかったんだなって思いはしたけど、それを実際に伝えることはなかった。理由は察してくれ。それどころじゃなかった。  結局、練習という名の本番は、ぶっつけだったにも関わらず上々の結果で、マンガ以上のあれこれを堪能してお互い収穫を得た。  と思っていたんだけど。  響はその後徐々にバイトを減らしていき、気づけばほとんど顔を合わすこともなくなり。  会おうとしてもちょっと忙しいというセリフで断られてばっかりで、そのうち連絡することもなくなった。  ……やっぱりあれは俺の早とちりだったんだろうか。  お互い距離を詰めようとしていたと感じていたのは俺だけで、響は流されただけだったんだろうか。

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