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第6話

 スラックスからシャツの裾を引き出し、ボタンを全て外してから、下着に締め付けられている誇張を開放してやれば、硬く張り詰めているそれは、勢いよく跳ね、イアンの鍛えられた腹筋を叩く。  その雄々しさに、思わず喉を鳴らしそうになるのを、マシューは必死に堪えた。  これは、あくまで主人の苦痛を少しでも和らげる為の行為なのだ。 「……失礼します」  イアンの脚を大きく開かせて、マシューはその間に身体を割り込ませ、その熱い滾りを柔らかく握り込んだ。 「っ……」  頭の上で、イアンが微かに呻く。  少し触れただけなのに、手の中でイアンの屹立は脈動し、また大きく膨らんだ。  成人したウェアウルフの一物は、人間のものとは比べ物にならない。  そのウェアウルフの中でも、イアンの物は他をしのぐだろう。  先端の蜜口から、絶えず溢れる雫を塗り広げ、マシューは太く硬い幹をゆっくりと扱いていく。 「……マシュー……焦らしてる?」  苦笑を含んだ声が、熱い呼気と共に落ちてきて、後頭部に回った手に引き寄せられた。 「いえ……そんなことはありません」  マシューは次の命令を待っていたのだ。  頭を強く引き寄せられる力に従い、マシューは脈動する肉棒へ唇を寄せた。  根元を片手で掴み、もう片方の手で支え、熱にうねる幹を下から上へと舐め上げると、血管がどくどくと脈動するのを舌先に感じる。  イアンが気持ちよさそうに喉の奥を鳴らす。  今までも、幾度となくこの行為はしてきた。  満月の夜が訪れる度に。  今まで、イアンは連れてこられたΩとは、種付けまで至らなかった。  Ωが薬で発情しても、イアンが満月の光を浴びても、何故か最後の最後で萎えてしまう。  番になれなかったΩは、イーストシストを牛耳るマフィア、マンテーニャ・ファミリーに引き渡さなくてはならない。  100年も前から、マンテーニャと深い関わりを持つティカアニ家は、その見返りに法で禁じられている発情促進剤を受け取っていた。  全ては、ルナティックの夜に人間のΩと番い、白い獣毛の血統を持つ子供を成す為の手段だった。  可哀そうだと、イアンは何度もこのルールを変えようとはしたが、昔から取り決められている決まり事は、そう簡単には変えられない。  そうして、番になれなかったΩから離れてしまうと、種火のように身体に残ったルナティックの熱は、時間が経ってからでも、徐々に蘇る。  その度に、こうしてマシューが主人の熱を鎮めてきた。  だから、イアンの悦ぶ場所は、心得ている。 「……あ、……っ……ぁ」  そこを集中的に刺激すると、イアンの身体が僅かに強張り、甘い声を漏らした。  

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