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第7話

 舌を這わせながら、そっと見上げると、灰青の瞳と視線が絡む。  狼は視線で意思疎通を図る。群れを率いるリーダーの瞳は、他を寄せ付けないほどに鋭く美しい。  強い視線で物を言い、部下達に意思を伝えるその瞳が、時に怖いと感じる者もいる。  幼い頃から、一番近くでイアンを見守ってきたマシューは、その視線が怖いだけのものではないと知っている。  もっと細かい想いを読み取る事ができる。  だけど、今のこのイアンの瞳は、どうだろう。  灰青の虹彩が濡れ潤み、中央の瞳孔がゆらゆらと揺らめいていて、いつものはっきりとした力が失われている。  こんなイアンは初めてで、マシューはどうしたら良いのか分からなくなっていた。  思わず、視線を逸らすように顔を伏せ、目の前の猛りを先端から深く頬張った。  何だか、見てはいけないものを見てしまったような気がしたのだ。  口の中いっぱいの雄が、また急速に堅くなる。その根元を握り、無我夢中で頭を上下させた。  溢れ続ける先走りを呑み、口に入りきらない部分を手で扱きながら先端を強くしゃぶり続けると、根元の亀頭球が膨らんでくる。  マシューの髪を掴んでいるイアンの指に力が入る。  イアンは、ここを触られるのが好きだ。  自分の愛撫で、主人が気持ちよくなってくれているのが嬉しい。  しかし、そこを強めに握り刺激しようとしたその時、髪を掴んでいるイアンの手が、頭を後ろに強く引く。  「……ん、う……っ?」  イアンの先端とマシューの唇の間で、名残惜しげな糸が引く。  ──どうしたのだろう。気持ちよくなかったのだろうか。  そんな不安が頭を過る。  でも、もうあと少しで達しそうだった。  いつもなら、イアンはこのままマシューの口の中に熱を吐き出していた。  ──何か気に障るような事をしてしまったのかもしれない。  そう思い、顔を上げられないでいると、不意にイアンの両手が脇に挿し入れられて、マシューの身体が宙に浮く。 「──あっ」  身体を持ち上げられた事を認識した次の瞬間には、仰向けでベッドに押し倒されていた。 「……イアン様?」  見下ろしてくる灰青の瞳は、やはりいつもとは違う。  熱に濡れたこの瞳を、なんと表現すればいいのだろう。  ────そんな事は、考えたくなかった。 「二人きりの時は、イアンと呼べ」  マシューは、小さく首を横に振る。 「……私は、貴方の執事ですから……」 「主人と執事の前に、お前は私の親友だろう?」 「今は……違います」  これは、仕事だと思うからこそ出来る行為なのに。  それなのに、お前は俺のことを、まだ親友だと言うのか。

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