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第14話

「……私は、……こんな姿……貴方にだけは見られたくないです」  大人になってからは、満月の光さえ浴びなければ、簡単に変化する事はない。ある程度のことなら、自分で抑えられるようになるからだ。イアンがこの姿を最後に見たのも、遠い昔の幼い頃の事だろう。 「何故? こんなに綺麗なのに」  低く囁き、イアンが後ろの入口を熱くて硬い先端で突いてくる。 「ぁっ……待っ……ッぅ」  マシューは、その圧倒的な質量に、声を詰まらせた。  反射的に逃げる腰をイアンの大きな手が、がっしりと掴み、高い位置に固定して、更に腰を押し付けてくる。  固く閉ざした入口は、それを容易に受け入れられない。濡れもせず、開きもせず、イアンの侵入を拒む。 「っ、くっ、うぅ……ッ」 「力を抜け、マシュー。拒むと余計に苦しいよ」  先端が潜り込もうとすると、入口が抵抗するように押し返す。   意識的に拒んでいるわけではなく、思わず身体を強張らせてしまうのだ。 「中は、しっかり濡らしてあるから大丈夫。力を抜いて?」 「……っは」  弱い耳に甘い声と熱い息を注がれて、耳ごと口の中に含まれると、一瞬で全身が弛緩する。  前に回した手の柔らかい肉球で、胸の尖りを絶妙の力加減で捏ねられて、赤茶の毛の下で肌が粟立った。 「……やっ、ぁっ、……っ、ぅ」  硬い先端が捻じ込まれ、一瞬だけ入口に焼けるような痛みが走る。  だけどすぐに、硬い灼熱の杭が細い道を押し広げながら、身体の奥へと入ってくる圧迫感に神経が支配される。  身体の中を真っ二つに割り裂かれそう。  だけど…… 「……っ、ぁ、う……あっ、あ」  初めてそこに受け入れたのに。  痛いし、苦しいのに、中は悦ぶようにイアンに纏わり付き、もっと奥へと誘うような動きをしている。  自分の身体の浅ましさに、マシューは眉間に皺を寄せた。  その時、濡れるはずもない結合部から、生暖かい液が垂れ落ちて、じわりと内股の毛を濡らしたのに気づく。 「……あ」  開いた股の間から、ポタリとシーツ落ちた鮮血に、マシューが小さく声を漏らした。  自分の血が、イアンの下肢を汚している。  美しく高貴な白い毛皮を。 「すまない、少し切れたみたいだ。痛む?」  マシューは首を横に振る。  痛みなど感じない。それよりも心が痛む。 「貴方を汚してしまいます。どうかもう、これ以上は……ッん……ぅ」  言いかけた言葉は、最後まで言わせてもらえない。  後ろからマシューの手が口吻を捉えて強引に開かされ、噛み付くようなキスを仕掛けてくる。  お互いの荒々しい息遣いが混じり合う。  これ以上は駄目だと思いながらも、身体の奥に情欲の炎が広がっていく。  舌を引き摺り出され、獣同士の長い舌を空中で絡め合わせながら、イアンは更に奥深くマシューの中を貫いた。

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