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第15話

「っ、あぁ」  その衝撃に、マシューは背を撓らせ、喉を反らす。  熱い杭に身体の中いっぱいに埋め尽くされた瞬間に、うなじにイアンの吐息が落ちてきた。 「お前の中は、温かくて心地良いな」  そうして、イアンは小刻みに腰を揺らし始めた。 「……んぅ、っ……ぁ、あっ……」  小刻みな律動を繰り返しながら、少しずつ少しずつ、さっきよりも深く入ってくる。  細く閉ざした道が、イアンの形に目一杯、広げられていく。  唾液で十分に濡らされた内壁を擦られるたびに、ぬちゅ、ぐちゅと、音が聞こえてくる。 「んっ、ンっ……んぅ、ッ……んぁっ……ッんぁ」  律動のリズムに合わせて、声が漏れてしまうのが恥ずかしいのに止められない。  灼熱の肉棒に、内壁は柔らかく蕩けさせられて、もっと奥へと願っている自分が信じられない。  イアンが腰を打ち付ける度に、白と赤茶の獣毛が結合部で触れ合い、混じり合う。  傷ついた後孔の縁から滲む鮮血が、白と赤茶の獣毛をじっとりと濡らしている。  犯されているのに、自分が高貴な白を犯しているような背徳感に苛まれる。  苛まれているのに、“もっと汚したい”という欲望が、心の奥深くに芽生えているのも感じて、マシューは首を横に振る。  ──なんという恐ろしい事を考えているのだ。  だけど確かに……、その考えてはいけない想いが、余計に快楽を増幅させていた。 「……あ」  イアンがギリギリまで腰を引き、中から出ていく喪失感にマシューは小さく声を漏らした。  出ていくのを拒むように、無意識に蕩けた内壁がイアンに纏わり締め付けてしまう。 「……っ」  背後でイアンが熱の籠った吐息を零した次の瞬間、腰を掴む手に力が込められ、灼熱の杭が一気に腹の中に戻ってくる。 「ひっ、あぁぁ、っ、んぁっ」  さっきよりも、もっと深く、ずっと奥。直腸の奥に隠れている襞をその先端に突き上げられて、マシューは声にならない悲鳴を上げた。  ピリピリと電気が全身を駆け巡り、目の前に火花が散り、マシューの半身から白濁が滴り落ちた。  奥の細く窄まった場所に、イアンの先端が潜り込んでくる。  腰をグラインドさせながら、そこを何度も突かれて、口からはひっきりなしに喘ぎ声が零れる。  縛られた手でシーツを掴み、ずんっと、重い衝撃を体の奥に受け、甘い痺れが体内を巡る。  苦しくて、気持よくて、苦しくて。  頭の中まで蕩けていく自分に怖くなった頃には、前へと逃げようとしても、最大まで膨らんだイアンの根元の亀頭球にロックされ、動けない。  マシューの半身からは、ポタポタと白濁が零れ続け、股の下でシーツを濡らしている。 「あっ、んぁッ、あ、待って……イァン……、い、あ……ん……ッ」  全身が快楽に支配され、朦朧とする意識の中で、訳もなくイアンの名前を何度も呼び続ける。  そうしなければ、ルナティックの夜に呑み込まれそうだった。

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