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第4話
「ゲホッ!!」
殴ってきた男の手を掴もうとするが、脇腹にも更に衝撃が走り掴もうとした手が歪に固まる。
「ギィっ!!!」
暫く男に腹部を中心に殴られた。
胃液がせり上がってきて、吐いても暴力は続いた。
立っているのも辛くなり、今は壁に背を預け座り込んでいる。
体が痛い事は勿論、動くのも辛い。
いつまでこれが続くのかと考えていれば、男は徐にしゃがみ顎を乱暴に掴み無理矢理目線を男に合わせる。
「……汚ねぇな、」
そりゃあ、アンタが散々殴るからだと異議を唱えたいが口を開くのも面倒だ。
唐突に顎を離したかと思うと、カシャンと音が鳴る。
そうして、左足を動かされたと思ったらまたカシャンと音がして窮屈さに目線で確かめれば、左の手首と左足首が短い鎖で繋がれていた。
え、と思っている間に男は、いつの間にかに持っていたハサミで吐瀉物の付いた服を切りながら脱がしていった。
その間、されるがまま状態で一連の流れをぼーっと見ていた。
(内臓売り捌かれるのか、単なる猟奇殺人の被害者になるのかな…俺……)
上半身裸になり、下へも手は伸びていた。
ジョキンっとハサミが布を切る音がやけに響く。
もはや着ていた服は、只身体にまとわりついているだけの布でしかなくなった。
全裸の状態になってしまった俺は、ヒヤリとしたこの部屋の空気と背に当たる冷えた床にぶるりと体を震わせた。
体温が奪われてしまいそうだ…。
(寒いな…)
なんて思っていたら、男の手が腹に触れた。
思ってもみなかった事と、体温のある男の手に身体が大きく跳ねた。
手は臍から下っ腹の部分をゆらゆらと這いずっていた。
(嗚呼、気持ち悪い)
ぼーっとそんな事を思っていたら、男の手が股間に触れた。
そうして萎えた陰茎を雑に扱く。
この状況で起つ訳もなく、雑に扱かれている痛みのみであった。
「…っ!グッ……、痛ッ…んっ!」
訴えたところで何の変化もなかった。
淡々と雑に扱かれていた。
そのせいか、擦られた股間がヒリヒリとする感覚がある。
「……あんた、ゲイかよ…。」
誘拐されたあげく、誘拐犯がゲイとか最悪すぎるだろ。
「この後てめぇがどうなるか、想像してみろよ?」
ニヤリと歪む男の口元
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