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第61話
そうだ、奎吾だって苦しくないわけはない。やめるか、と訊かれ、希は頭を振った。
「や、やめないで・・・・・・っ!」
「だが・・・・・・」
「大丈夫だから」
希は無理矢理口元に笑みのかたちをつくった。そうだ、こんなことなんでもない。そのとき、奎吾の先端が、さっき希が感じたある一点をこすった。
「うあっ! あっ! あぁー・・・・・・っ!」
希はびくびくっと身体を震わせた。その間にも、奎吾のそれは希の奥深くにまで入ってくる。
「入った・・・・・・」
「えっ。うそ・・・・・・」
見れば、あんなに大きくて挿れるのは無理だろうと思った奎吾のそれが、すべて希の中におさまっている。
「・・・・・・動くぞ」
やがて奎吾は抽送を始めた。奎吾の剛直が希の内側を擦るたびに、ぞくぞくっと粟立つような感覚が走る。
これはなんだ?
それが感じているのだということを気づかずに、希はポロポロと生理的な涙を零した。
「あん・・・・・・っ! あっ! ああーーっ!」
我慢をしようとしても、希の口からは絶えず声が零れてしまう。それを恥ずかしいと思う余裕さえなかった。間接照明の薄暗い室内に、濡れたような音と、肌と肌がぶつかり合う乾いた音が響く。
「ン! あぁ・・・・・・ッ! ッ!」
「声。我慢しないで・・・・・・」
口元を押さえていた手を取られて、するりと入り込んできた奎吾の指に口の中をくすぐられる。飲みきれなかった唾液が口の端から零れた。情欲に滲む艶のある瞳に見つめられて、全身の肌がぶるりと粟立つ。
「あっ! あ、あっ!」
希は涙で潤んだ目で奎吾を見た。
「希。かわいい・・・・・・希・・・・・・」
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