この世の中には両思いと片想いと両片思いがある。両思いが＝関係で表すことができるなら、片思いは（→）のみ、両片思いは（→←）である。 例）両思い　攻め=受け　 　両片思い　攻め→←受け 　　片思い　攻め→受け　or 攻め←受け 「でもさ、違うんだよ。片思いってのは、相手が自分を好きか嫌いか分からないからいいんだよ。相手が自分のこと好きって見え見えでも、片思いというタグであるからこそ切なさや深いストーリー性が生まれるんだ！」 「それはお前の見解だ。両片思いとして、安心して読みたい人もいるだろ。」 「いいや、そんなの邪道だ。片思いは、苦しいんだ。相手を好きで仕方ない。でも、この気持ちを受け入れてくれるか分からない。相手に好きな人がいるかもしれない。苦しい、切ない。両片思いだと全てが台無しだ。どうせ付き合って終わりね。はいはいで終わる。安心なんていらない。スリルをくれ。」 六条はあえて、答えない。どう答えたって、この偏屈な人間の意見は変わらないと知っているからだ。 「ってか、その話しBLでもなんでもない…。」 「そもそも、片思いで調べて両片思いのタグなんて出てくること自体おかしい。別もんじゃ、別もんじゃ。その存在自体ただのネタバレだけど、存在を認めたとして、絶対両片思いと片思いは別次元にあるはずのものだー!!」 そもそもだよ。 と馬場は付け足した。 攻めの心情はラストまで分からない方がいいんだ。片思いや浮気ものだったら。なんでか？攻めが自分のことどう思っているか不安で、つらくて、でも好きなことをやめられない受けが見たいのだ。 受けが追い込まれて追い込まれて、最後に実は俺もお前のこと好きだったがいいんだ。 それが一方通行の最大の美味しいところ。どう考えても攻め受けのこと好きだろ。的なシーンがあっても、その解答は最後にあるから美しい。よかったね、受けとなるのだ。 息を吸わずに長文を言い終わった馬場はふんっと鼻息を吐いた。 やはり両片思いより片思い主義者である。 ーーー 両片思い好きの人申し訳ありません