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第29話
「私が、そばにいますから。貴方がどんな選択をしたとしても、私は味方です」
「ふふ、………ねぇ、男の子か女の子、どっちだと思う?」
「貴方の子なら、どちらでもお可愛らしいでしょうね」
まだしっかりした自信はないけれど、この子に会いたいって気持ちは本物だ。
「せつなくん、この服はどうでしょう。襟のレースが綺麗ですよ」
「ほんとだ。小さいのにどれも手が込んでる……」
あれから、俺と黒川さんはカフェが休みの度に赤ちゃんに必要なものを揃えに行っている。
普段はまったく関わらないようなものばかりで、少し楽しい。
「せつなくんはもうすぐ臨月ですし、ここまでの遠出はもう出来ませんね。最後に必要なものを確認して帰りましょうか」
「そうですね。……黒川さんがいると、なんでも頼りきりになっちゃいそう」
「畏れ多いお言葉、ありがとうございます。本当にそうなって頂ければ、私も安心できますよ」
仕事も住む場所も、買い物さえも頼ってしまってるけど……
黒川さんはもう、俺の執事じゃない。
いつ一人になっても、生きていけるようにならないと。
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