40 / 41

第40話

「無理。仕事もあるから」 「こなつくん、それって来週の何周目ですか?」 いきなり聞こえた声にびっくりする。 また、気づかなかった。 そんなに、こなつのことに没頭してる……? 「二週目か三週目です。ずらすことも出来ると思いますけど」 「その時期ならイベントもありませんし……私一人でも十分ですよ。1週間位身体を休めてきて下さい」 「いえ、そんな訳には…」 「これまで休みは定休日だけでしたし、萩花くんも旅行してみたいでしょう?」 「いきたい!」 「お兄ちゃん、黒川さんもああ言ってるし行こうよ」 「でも……こなつと一緒に行く意味がわからない」 こなつは、俺の事が好きだって言ってる。 それについて行ったら、俺が受け入れてるってことにならないか。 「じゃあ、俺が行くからー、パパは俺のつきそいで来てよ!」 「えー……」 萩花はとても行きたいらしい。 確かに、これまで旅行なんて行ったことなかったから当たり前か。 我慢させてしまってたのかと、心が痛む。 「パパ!行こ?」 「うぅ……」 萩花のためなだけで、別に俺が望んだわけじゃない。 うん、俺のせいじゃない。 その日、こなつはすごく嬉しそうに帰っていった。

ともだちにシェアしよう!