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第40話
「無理。仕事もあるから」
「こなつくん、それって来週の何周目ですか?」
いきなり聞こえた声にびっくりする。
また、気づかなかった。
そんなに、こなつのことに没頭してる……?
「二週目か三週目です。ずらすことも出来ると思いますけど」
「その時期ならイベントもありませんし……私一人でも十分ですよ。1週間位身体を休めてきて下さい」
「いえ、そんな訳には…」
「これまで休みは定休日だけでしたし、萩花くんも旅行してみたいでしょう?」
「いきたい!」
「お兄ちゃん、黒川さんもああ言ってるし行こうよ」
「でも……こなつと一緒に行く意味がわからない」
こなつは、俺の事が好きだって言ってる。
それについて行ったら、俺が受け入れてるってことにならないか。
「じゃあ、俺が行くからー、パパは俺のつきそいで来てよ!」
「えー……」
萩花はとても行きたいらしい。
確かに、これまで旅行なんて行ったことなかったから当たり前か。
我慢させてしまってたのかと、心が痛む。
「パパ!行こ?」
「うぅ……」
萩花のためなだけで、別に俺が望んだわけじゃない。
うん、俺のせいじゃない。
その日、こなつはすごく嬉しそうに帰っていった。
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