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8-もう少しだけ、穢したい
「どうしてもダメ?もしかして、ゴローくんには恋人がいるのかな?」
「いません」
これははっきりきっぱり否定する。
「記憶喪失で忘れてるわけじゃなくて?」
「恋人はいません」
「そっか。それでもダメ?ゴローくんはオレのコレを挿れられるの、どうしてもイヤ?」
「あ……う……イヤじゃないです」
「え……だったらいいってことだよね」
ゴローくんのお尻に早く挿入りたくて、オレのモノはズキズキと疼き始めてしまった。
細い腰を引き寄せ、モノの先端をクッとすぼまりに押しあて、クンクンとネジつける。
あ……これだけでもうヤバい。
痺れるような快感で全身が震えた。
「ぁ……うう……ダメです……ダメです……」
気持ちよさそうに尻たぶをギュギュと引きしぼりながら、ゴローくんが拒絶を口にする。
「イヤじゃないのに、どうしてダメなの?オレはゴローくんと一つになりたい」
しまった、ちょっと口調がキツくなった……。
そのせいで、さっきまで夢見るような表情だったゴローくんが、一気にシュンと沈んでしまった。
「ゔぅ……僕は……僕はイヤじゃないです。でも、ハクトさんはお酒を飲んでるから、明日、後悔します。だからダメです……」
泣きそうな顔のゴローくんから出たのは、まさかのオレを気遣う言葉だった。
「そっか、ゴローくんは優しいね。そんな風に言われたら……オレがどう思うかわかる?」
「あ……口ごたえして……ご、ごめんなさい」
謝るゴローくんのひたいに口付けして、細いがしっかりと筋肉のついた腰をグッと引き寄せた。
「責めてるわけじゃないから、謝らなくっていいよ。オレのためを思って『ダメだ』と言うゴローくんが可愛すぎるから、どんなに後悔してもいいから、キミとつながりたいって思ってる」
「え……え……?」
ゴローくんの足を割り開いて、内ももと尻たぶにチュッチュ……とキスを散らすと、敏感なゴローくんの腰が跳ね、硬くなったモノが揺れた。
「ゴローくん、本当にイヤじゃないんだよね?」
仰向けに寝かせた腰をぐっと持ち上げ、穴にモノを押し当てて確認をする。
それだけで激しく息を乱したゴローくんは、手の甲で隠した顔をブンブンと横に振った。
「イ、イヤじゃないけど、嬉しいけど……ダメ……です。はひっ……はひっ……………コレはダメ……」
っ……あーー……。
嬉しいなんて言われて、止められる男がいるわけないだろ。
けど……。
けど。
けど!!!
オレは腰を引いてゴローくんを抱きしめた。
後悔したっていい。だけど……。
「オレを止められなかったことをゴローくんに後悔させちゃうのはダメだよね」
とはいえ、真っ赤な顔をして目を潤ませるゴローくんのモノも、オレのモノもかなり限界だ。
「ゴローくん、挿入れないから、抜くだけ……ね?」
「……?」
再びゴローくんのモノを握り、ゴローくんにもオレのモノを握ってもらう。
「ふっ……くぅぅ………!」
すっかり体が昂ぶってしまっているゴローくんは、さっきと同じようにモノをすりたてただけで腰が大きくうねった。
眉根を寄せ、仰け反る顎がなんともそそる。
声を堪えているのか、人差し指を噛み、そのせいでフッフッ……と鼻息が荒くなった。
そして呼吸が乱れるほどに、ゴローくんの腰が浮き、足がくく……と、いやらしく開いていく。
「ゴローくん、気持ちがいいの?」
顔を覗き込んで聞くと、パッと目をそらされた。
けど、そんな風にされると余計に返事が聞きたくなる。
「ねぇ、ゴローくん、ココをこすられるのがイヤならやめる。そうじゃないなら気持ちがいいって言ってくれないかな?」
ちょっと気落ちしたような声を作ったら、ゴローくんが慌てた。
「そ、その、き、気持ちいいです。ジュってこすられるとビクンとして、先端に何かが詰まったみたいにズクンズクンして痛いけど、息が苦しくて、胸もドクドクして、頭がグルグルするけど、ハクトさんにさわられるのは、すごく気持ちいいです」
「ズクンズクンして痛いのも気持ちいいの?」
「はい」
「……ココ?」
先端を包み込んで手を滑らせると、体をよじるように片膝がきゅーっと引き上げられ、フルフルと震えた。
「ふくぅぅぅぅ…………」
小さな唸り声をあげて、快感に耐える。
けど、先端への刺激に加え、後ろのすぼまりに指を差し込みクリュクリュと押しさすれば……。
「ふくっっ………!!!!」
片足を上げたまま、ビクンと腰を突き上げ、ゴローくんのモノが勢いよく快感の雫を飛ばした。
「すごく気持ち良さそうにイったね」
ハァハァと息を荒らげ、焦点の合わぬ目でオレを見つめるゴローくんの頬にチュッとひとつキスを落とす。
「オレも気持ち良くしてね」
そう言うと、ゴローくんは力の入らぬ手をオレのモノに添え、緩慢に動かしてくれた。
「ふふっ……ありがとう」
けど、これじゃイケない。
ベッドの上で腹に白い液体を乗せたまま放出後の脱力感に息を乱すゴローくんは、上半身にからむパジャマがしどけなく乱れ、だらしなく開いた足のモノは力を失いきらずに快感の余韻でヒクついている。
穢されるほど、ゴローくん本来の清潔感が強く際立つんだろう。
クールで無垢な彼が快楽に乱れた姿には、背徳的な美しさがあった。
……犯しはしない。
けど、もう少しだけ、穢したい。
ゴローくんの脱げかけてるパジャマを押し上げ、薄く筋肉のついた胸をさらす。
そして、ゴローくんにまたがると、オレのモノをなだらかな胸に擦り付けた。
オレの先走りがゴローくんの胸に透明の線を描く。
その様子をゴローくんが焦点の合わぬ目でながめていた。
「んっ……はぁ……気持ちいイイよ、ゴローくん」
「ふっ……ぅ……」
ゴローくんはくすぐったそうに胸をゆすりながらも、モノをすりつけ、ゆっくり腰を振るオレの痴態から目をそらせないようだ。
「ねえ、ゴローくん、本当はコレ、入れて欲しいんだよね?」
どうしてもゴローくんに欲しいって言わせたい。
そう思う自分を、薄まった理性が『酔っ払いセクハラオヤジかよ』となじる。
「わ、わからないです。でも気持ちいいって言われるの、すごく、すごく嬉しいです……」
ふんわり微笑みゴローくんがつぶやいた。
とくん……!
意外すぎる言葉に胸が甘く高鳴った。
ゴローくん、なんていじらしいんだ。
けど、そう言われると、なんで自分が我慢しているのか、わけがわからなくなってくる。
いや、我慢しろ。
ゴローくんがダメだって言ってるんだから、挿入れちゃダメだ。
オレの先走りでイヤらしく濡れた熱い胸が、ゴローくんの興奮を示すように大きく上下する。
さらに硬く勃起した小さな乳首にモノの先端を擦り付ければ、ツクン!と快感が弾けた。
「ああ、ゴローくん、ほんと、気持ちいいよ。もう、イキたい。オレの、もうちょっとだけ強めに握ってくれる?」
根元のあたりをキュッとゴローくんが握った。
その程よい圧に、快感と幸福感が弾ける。
「んっっ……じゃあ、イクよ……イクっ……ゴローくんの胸で……イクっ!」
「ハクト……さん?……ふっ……はぁっ」
大きく腰を振ると、オレだけじゃなく、擦り付けられるゴローくんも快感に喘いでいた。
視線が甘く絡む。
背後でゴローくんの腰が艶めかしく揺れていた。
「んクゥ……」
胸にモノを擦り付けながら頬をなでると、なんとも幸せそうに切れ長の目が細まる。繋がっていないのに、繋がってるような。
初めての感覚だ。
目の前が真っ白になり、焼け付くような快感が弾け、一気に熱がほとばしった。
「ゴローくんっ……出るよ……」
ビシャッ。
ゴローくんの胸に、首に、顔にオレの欲望が伝う。
「はぁっ……はぁっっ……!あたま……飛ぶかと思った……!」
荒い息のままゴローくんを見ると、汗とオレの精液で濡れた顔でなんとも甘やかに微笑んでいて……。
「ゴローくん、ありがとう」
あ、しまった。
「ぁう……ハクトさん……っ……」
ダメだと言われていたのに、唇にキスをしてしまった。
「ゴローくん、ごめ……」
「んっ……んっ……ハクトさん……ハクトさんっっっ……」
慌てて離れたオレを、ゴローくんの唇が追ってきた。
ちゅ、ちゅ……。
なんとも愛らしいバードキス。
「どうしたの?ゴローくんがダメだって言ってたのに……んっ」
「んっ……ぁふっ……ハクトさん、もっと……もっと……」
軽く舌を絡めると、完全に自分を見失ったゴローくんが、オレの唇を求めてすがりついてくる。
「どうしたのゴローくん……可愛い……」
「ん……ハクトさん……もっと……」
「うん、いくらでも、ゴローくんが欲しいだけキスしてあげる」
ゴローくんの舌先を誘い出し、チュっと優しく吸う。
するとトロリとして熱い舌がヒクヒクと快感を示すように震えた。
そしてゴローくんのモノが再び覆い被さるオレの腹を押し上げ始める。
「ふふ……そんなにキスが好きなのに、どうしてダメなんて言ったんだ?」
「はぅ……」
キスですっかりトロトロに蕩け、舌をもてあそばれているゴローくんには、オレの質問など聞こえていないらしい。
「ゴローくん、体拭いてパジャマを着替えないとね」
「ん……」
まだ酒の抜けないオレ以上に、ゴローくんはキスで酔っていた。
「着替えたら、またキスしてあげるから……」
「ん……ちゅ」
全然聞いていない。
けど、そんなとこも可愛い。
結局、キスをしながら体を拭き、キスをしながら着替え終えれば、キスをしたままゴローくんはまどろみ始めた。
「おやすみ、ゴローくん」
ウトウトするゴローくんに布団をかけて、おでこにおやすみのキス。
そして彼を残してシャワーを浴びに行くと、再びゴローくんの部屋を覗いた。
ぐっすり寝ているな。
……本当は一緒に寝たいけど、ゆっくり寝かせてあげた方がいいか。
ゴローくんはキスをするとオレが後悔すると言っていた。
だけど、今オレはこれまで感じたことのない幸福感でいっぱいだ。
これから寝て、朝になり、完全に酔いが冷めたとして、ゴローくんに無理強いをしてしまったバカな自分を後悔するかもしれないが、彼とふれあい、キスしたことを後悔するとは思えない。
我慢できずに、再び唇におやすみのキス。
「ゴローくん。キミは明日の朝、後悔しないでいてくれるかな?」
そんな不安も、大きな幸せの中では海に投げ込んだ小石みたいなものだった。
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