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49-僕が舐めて消毒するんですよね

「……ハクトさん、あとはどこを消毒しますか?」 のぼせたような顔でオレに手を伸ばしてきた。 「ゴローくんは明日病院に行かないといけないから」 「はい。なので、早くしないといけません。次は僕が舐めて消毒するんですよね」 「え、あー。ああ、うん、じゃ、そうだね、し、してもらっちゃおうかなぁぁぁ?」 本当は、あられもなく腰を突き上げてイく、ゴローくんの艶っぽくも恥ずかしい姿を見て満足していたんだけど、早くしないといけないって言われちゃったら……うん、しないといけいよな。 「じゃ、じゃあ、あのヒトの硬くなったモノをグイグイ押し付けられてたトコを、お口で消毒してもらおう……かな?」 ゴローくんの眉が不快そうにギュッとしかめられる。 「わかりました。体のどこに硬いのを押し付けられましたか?」 「……ココ」 オレの体の中心で昂ぶるモノを指差すと、ゴローくんが一瞬目を剥いて、それから表情が消えた。 無我の境地ってヤツか? 「ゴローくん、嫌なら無理しなくても……」 「消毒はしないとダメです。だって、ハクトさんの恥ずかしいトコに発情した性器を押し付けるなんて……ダメです。絶対消毒します!」 バスタブのふちに座ったオレの前に、ゴローくんが跪く。 はぁっと、一つ息をついて顔を近づけ、寸前で止まって顔を背けた。 「ゴローくん、やっぱり無理なら……」 「します!」 肩まで真っ赤になって、オレのモノを掴む。 はぁふぅぅ。 大きなため息がオレのモノをくすぐる。 プルプルと震える手に掴まれているだけで普段にはない快感が生まれた。 濡れた顔をオレに向けると、その目はグジュグジュに潤んでしまっている。 「ゴローくん、泣くほど嫌なら……」 「嫌じゃないです。泣いてません」 伸ばした舌先をオレのモノの先端にふれさせる。 それはささやかすぎて、ようやく温もりを感じ取れる程度。 舌を伸ばしたゴローくんの、はっはっという犬のような息遣いがくすぐったい。 そして、意を決したように根元に舌を当てると、一気にペロンと舐め上げた。 どうですか?と潤んだ上目遣いが聞いてくる。 「うん、上手。そんな感じで全体を舐めて……嫌じゃなかったら、そのあと咥えてくれたりすると嬉しい」 一生懸命、余すとこなく舐めようとしてくれるのに、舌使いはチロチロと控えめで、たまらなくもどかしい。 だけどそのせいで脳天までくすぐられるような感覚に陥った。 「んっ……んっ……はぁ、ゴローくん、上手だよ」 褒めながら雫を落とす髪をかき混ぜると、ゴローくんが喜びの気を放った。 「……抵抗無ければだけど、咥えてくれる?」 「咥える……口に入れるんですよね?」 「うん、そうだよ」 眉根を寄せたゴローくんが俯いた。 「た、食べるんですか?怖いです」 「えっ、いや、食べないで?お尻に挿れた時みたいに、お口で抜き差ししてくれると嬉しいんだけど!」 怯えをまとっていたゴローくんの顔がホッと緩んだ。 「僕の口をメス穴と思えば良いんですね」 「え!? ……う、うん、まぁ、そう?だね」 ゴローくんがとんでもないことを言い出すから、程よい厚みのある唇がありえないほど卑猥に見えてきてしまった。 「ご、ゴローくん、あの、パクッと咥えるんじゃなくて、窄めた口に挿し込んでいいかな?」 「はい」 ゴローくんが膝に手を置き、キスを待つように唇を軽く窄めた。 そこに自分のモノを近づけ……。 先端を押し付けて、ふにゅっふにゅっと唇の弾力を味わう。 あ……もうこの愛らしい感触だけでヤバイ……。 なんだこの、脳みそがふわふわと浮き上がるような多幸感は。 にゅ、にゅ……少しづつ先端が唇の間に埋まっていく。 ポクっと口内に亀頭全体が入ると、舌で先端を覆ってくれた。 ああ、いじらしい。 ゴローくんの口に半分が収まると、自然と腰が動き始め、初めて昂ぶりを受け入れた無垢な口内をかき混ぜてしまっていた。 「むぷっ。むぷっ」 ゴローくんも逃すまいと懸命に吸い付いてくれる。 ……ああ、半分しか入ってないのにもうヤバイかも。 いや、明日病院だし、早く終わらせないといけないんだからこれでいいんだ。 「ゴローくん、今みたいに吸い付きながら根元まで咥えてくれる?」 「はひ」 じゅぷっと一気に咥えこみ、キュキュッと吸い付いては舌をうごめかせる。 「んぁっ……はぁ。スゴい……んっ!ゴローくん、もしかして、これ、したことある?」 「ひたことなひ、れす」 余計なオレの不安を、潤んだ上目遣いがすぐに消し去ってくれた。 「そっか。すごく上手だ。オレ、気持ち良過ぎておかしくなりそうだよ。初めてでコレって、ゴローくん天才」 「……!」 シャパシャパッと水音がした。多分シッポが振られているんだろう。 そして、トロンと酔ったような笑顔で、熱心にオレの昂ぶりを咥え舐めしゃぶってくれる。 ああ、艶っぽい。 こんな顔されたら……もう……。 でも、もう少し楽しみたい。 早く終わらせなきゃいけないのに、イクの我慢してごめんね、ゴローくん。 「ゴローくん、コレするの嫌じゃない?」 「上手って言ってもらえたので嬉しいです。それにハクトさんの顔が……ハフ」 「ん?オレの顔が何?」 「気持ち良さそうで、エッチで、キレイで、可愛いので、もっともっとしたくなります」 「ええ?嬉しいけど、そこに『カッコいい』ってのは入らないの」 「はい」 断言? 「僕が頑張った分だけ、ハクトさんが喜んれくれているのが、とってもよくわかるので嬉しいでふ……ンむくッ」 「そっか、喜ばせたいって思ってくれてありがとうね!でも、明日病院だからもうそろそろ終わらないとね。濡れたままだから風邪ひいちゃう」 「大丈夫です。病院は風邪をひいた時に行く所です……ンクッ」 「もう、ゴローくんは可愛いなぁ。でも、風邪をなめちゃダメだよ?」 「はい。舐めません。僕は今、ハクトさんのオチンチンを舐めてます」 そんな大真面目に……。 「ああ、もう、ダメだ。可愛すぎだ。もっとゴローくんの色っぽいフェラを見てたいけど、キリがないからもうイクね。ゴローくん、手でもこすってくれるかな?」 そう言うと、オレはラストスパートに向けて、バスタブから腰を浮かせた。 「ゴローくん、ちょっと動く。苦しかったらごめんね?出来るだけすぐイクから」 ポーッと赤みをおびたゴローくんの頬を掴み、口にグッと根元まで押しこむ。 すると先端が舌の根元に当たり、さらに奥へ。 あ、コレはヤバイ。 ゴローくんはあまり苦しそうにしてないな。 そう思ったら、もう止まれない。 喉の奥まで侵入し過ぎないよう加減を気をつけながら素早く腰を振った。 「んっんっんっんっっ」 「ゴローくん、大丈夫?」 「んっ」 カクカクと頷く。 ほんと、ヤバイ。 跪いて目を潤ませたゴローくんの喉に押し込むとか……興奮する。 少し歪んだ男らしい顔を見下ろし、好きに扱うって……征服欲を刺激されまくりだ。 しかも、ゴローくんは苦痛さえも幸せそうで……。 「もうイクから……出すよ……。ん、ゴローくんっ……イク!」 ジュプジュプッと、ゴローくんの口内に快感が弾けた。 引き絞るような爽快感と脳の痺れ……。 そしてとろんとしたゴローくんの顔を見ると、たまらない幸福感に包まれた。 「んっんくっ……」 喉を鳴らしたゴローくんが、ねばついた舌でペロリと唇を舐める。 「え……飲んでくれたの?」 驚いているとゴローくんが満足そうに息をついた。 「ノンアノセンターに旦那さまの精液が大好物だって子がいました。どうやって飲むのか不思議だったですけど、お口に性器を入れるんですね」 「だ、大好物?」 コレもノンアノ同士の明け透けトークってやつか。 「で、ゴローくんはどうだった?す、好き?嫌い?」 オレの質問にゴローくんが口元を押さえ、恥ずかしそうに俯いた。 「好きでも嫌いでもないです。でも、みんなが、旦那さまに可愛がられてないと飲めないって言ってたので、嬉しいです」 「そ、そっか!じゃあ、また今度してもらおうかな」 「はい」 さすがに今日はここでおしまい。 余韻を楽しむように丁寧に体を拭いてあげて、シッポと髪をドライヤーで乾かす。 家も同じようなことをしているけど、綺麗なホテルでのイチャイチャはなんだか特別だ。 だけどオレの体にはまだアルコールが残っている。 半分まどろみながらドライヤーを終え、すぐにベッドに入った。 ◇ ツインルームなのに、朝目覚めると同じベッドで手を繋いで寝ていた。 こういうちょっとしたことに、すごく幸せを感じる。 息にアルコール臭が残り、二日酔いの気配もあるけど、昨晩のしくじりは、ゴローくんの『消毒』できれいさっぱり消え去ったし、きっと今日はいい一日になるだろう。 「ハクトさん。お酒臭いです。僕が寝ている間にまた飲みましたか?」 起きぬけのゴローくんから予想外かつ痛烈な一言が。 「えっ!飲んでない!飲んでないよ!」 疑いの眼差し。 いや、ほんとに飲んでないって! 「ハクトさんは、お酒をたくさん飲むと失敗や後悔をします。あまりおうち以外で飲まないでください」 「うん、うん、大丈夫、大丈夫。こんどからちゃんと気を付けるから」 あれっ?ゴローくんの眼差しから、まったく不信感が拭えてない。 「ハクトさんは僕よりずっと大人です。もう知らないヒトについて行ったらダメですよ」 「は、はい」 立派な大人で、飼い主なのに、ペットに叱られるオレ。 でも最近ゴローくんに叱られるのちょっと好きになってきたんだよな……なんて言ったらあきれられるだろうか。

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