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53-飼い主さんに可愛がってもらって採取
「ハクトさん、お話終わりましたか?これからどうしますか?お散歩行きますか?」
ゴローくんが二週間過ごした特別室にオレが戻った途端、勢い込んで迎えてくれた。
再会した時にはオレの方が興奮しすぎていたためわからなかったけど、ゴローくんも久しぶりにオレに会って嬉しく思ってくれていたようだ。
「お散歩はあとでね。ゴローくん、こっち来て」
ベッドに座ると、枕をクッションがわりにヘッドボードに寄りかかり、足の間にゴローくんを座らせて背後から抱きしめる。
「ゴローくん、お医者さんに精液の採取をOKしたんだって?」
「はい。先生は飼い主さんに採って貰えばいいからって言ってました」
「ちゃんと先生から説明受けたの?」
「はい。精液は飼い主さんに可愛がってもらった時に出るミルク色のやつです。それをメスの卵子っていうのと混ぜると、子供ができます」
「え……そこまで理解できてるの?すごいね」
「すごいですか」
ゴローくんのシッポがパタパタと振られ、オレの股間をモニョモニョと刺激した。
確かに頭では理解していているようだ。だけど、理屈だけで現実と結びついてはいないんだろう。
「じゃあ、それを採取しようか」
「はい」
「一旦この袋に採って、こっちのボトルに注いで提出するんだ。いい?」
「はい」
「じゃ、ズボン脱いで」
ゴローくんの顔に『ん?』というように疑問符がついた。
それでも素直にズボンを脱ぐ。
「パンツも脱いでさっきみたいにオレの足の間に座ってくれる?」
戸惑い気味にジョックストラップのゴムバンドを引っ張り脱いだ。
「あ、あの……これは検査ですか?」
「んー、検査のための採取?血を抜いたりされただろ?あれと同じ……かな?」
「そうですか。……だったら、看護師さんが入ってきますか?この格好は恥ずかしいです」
「お医者の先生に『飼い主さんに採って貰えばいいから』って言われたんだろ?」
「あ、そうでした……」
さっきからゴローくんが表情に出すことなく静かに慌て、混乱している。
そして、膝をモジモジ。
これは……。
ようやく『飼い主さんに可愛がってもらって採取』という言葉と、実際の行動がつながったってことかな?
「じゃあ、ゴローくん、採取するね。軽く足を開いてくれる?」
病室でこんなことをするなんて落ち着かないし、抵抗を感じて気持ちが萎え気味だったのに、ゴローくんの恥ずかしそうな様子を見て、一気にヤる気に火がついた。
背後から内モモを指先でソロ……ソロ……となぞると、緊張してきたのかゴローくんが少し身を縮める。
少し閉じてきた足を再び優しく開くと、困り顔で振り返った。
「どうしたの?」
「採取したら先生たちが来るんですよね?もし扉が開いたらココが恥ずかしくなってるのが見えてしまいます。毛布をかけたらダメですか?」
「でも、毛布が汚れると悪いから。それに勝手に部屋の中を覗いたりはしないよ」
「……そう……ですか」
医師も暇じゃないんだから、そんなに早く採取したボトルを取りには来ないだろう。
「ゴローくん、早く気持ちよくなれば、早く採取も終わるから、コレだけに集中しようね」
そんなことを言いながらも、焦らすように脇腹や太ももばかりにソロソロとふれる。
「っ………」
ゴローくんが息を飲んで小さく体をよじった。
「気持ちいい?」
「はい。でも、これじゃなかなか採取が終わりません」
「そう?じゃあ、どうしたら早く採取できると思う?」
「はい、早く採取するには、ハクトさんの手で……」
言いかけてピタリと止まったゴローくんがそろっと体を反転させ、オレに向き直った。
「ハクトさん、最初はキスがいいです」
「え……」
ゴローくんがオレの頬に手を添え、少し顔を傾けながら、ゆっくり唇を近づけ、チョンチョンとバードキス。
そしてするりと舌を差し込み溶け合うように絡ませてきた。
予想外のゴローくんからの甘いキスに、頭に血が上り、くらりと目眩がする。
「ん……ゴローくん……」
ゴローくんの舌が唇をなぞり、口の端にキス。そして、ほほ、まぶたと、次々にキスを落としていく。
「ちゃんとふれて大丈夫な、ハクトさんの顔です」
「え?」
「携帯端末に入っている顔は、キスをすると、消えたりすごく大きくなって顔が見えなくなったり、変なことになります」
「ゴローくん、会えない間、オレの写真にキスしてたの?」
「えっ、なんで知ってるんですか!?」
「えっ、今そう言ったよね。毎日写真にキスしてたの?」
聞こえないフリなのか、ゴローくんが両耳を手でぐしゃぐしゃとかき混ぜ
る。
「ふふっ。どうしたのゴローくん、恥ずかしいの?」
手首を掴んで動きを止めると、チラッとオレの目を見てスーッとそらした。
「毎日はしてません。画面が変になるのでできないです」
「そっか。でも、もうこんなに長く離れ離れになることはないから、毎日本物のオレとキスできるよ」
オレの唇に注がれた、物欲しげな視線がたまらなく艶っぽい。
先ほどのキスで湿りを帯びた唇に再び唇を合わせると、ゴローくんがしがみ付くようにオレを抱き寄せ、ふたりベッドに転がった。
積極的に唇を求め、ゴローくんがオレの上にがまたがる。
「は……は……んっ……」
トロンと酔ったような目で何度も何度も唇を合わせてくるゴローくんが愛おしい。
クッと後頭部に手を添え、くすぐるように口内を舌でなぞると、ゴローくんのキスがオレの動きに応えるものへと変わっていく。
オレに体重を預けつぶやく言葉は、うっとりと吐息まじりだ。
「ん……ハクトさん……僕の旦那さま……僕の……僕だけの旦那さま……」
「そうだよ。オレはゴローくんだけのものだよ」
大きな耳に口をよせ、優しく優しく声を吹き込むと、いつもはクールな表情 が、トロンととろけた。
「ゴローくんそろそろ……ね?」
「はい」
採取のために下肢に手を伸ばす。
だけどなぜかゴローくんは膝立ちになり、上体がスッと離れた。
え?ゴローくん?
不思議に思っていると、ゴローくんが妖艶な笑みを浮かべ、ゆるく勃ちかけている自らのモノにソッと指を絡ませた。
「旦那さま、はしたなく雫を漏らす僕のココを……可愛がってください」
今にも先端から垂れそうになっていた雫を指でからめ取り、ツツツ……と幹になすりつける。
ゴ、ゴローくん!どこでそんな言い回しを覚えたんだ!?
あ、いや、オレが教えたんだっけ。
しかし、別々に教えた言葉とポーズの合わせ技を繰り出してくるなんて。
ゴローくんの意外な応用力に、必要以上に興奮してしまった。
「ゴローくん、たっぷり可愛がってあげる……」
「……今はたっぷりはダメです。早く出さないといけません」
つれない事を言いながらも、オレの手を取り自分のモノに導くゴローくんの積極性にすっかりやられてしまった。
はぁ、心臓の音が廊下にまで聞こえるんじゃないかと心配だよ。
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