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Ⅷ
「あ、あの……」
人買いが去り、主人が替わった。
果たしてこれから自分はどうなるのだろう。
不安に脅かされたウェリーは新しい主人を見上げた。
「助けてくれたとは思うなよ? お前は奴隷。それだけだ」
突き放すようなその言葉。
けれどもなぜだろう。
男から怖いという感情は湧いてこなかった。
「……はい。わかっています」
「だったら乗れ。無駄口は叩くな。いいな?」
男はウェリーを立たせ、馬車に乗るよう顎で示した。
「は……」
『はい』
ウェリーは返事をしそうになった口を、自由になったその手で押さえた。
雇い主が変わったとしても自分は奴隷には変わりない。
馬車に乗り込んだウェリーは孤独という寒さから耐えるため、木の枝ほどの細い腕を体に巻きつけ、静かに目を閉ざした。
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