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Ⅹ
噂は果たして真実なのか。
真偽を確かめるため、ある日の午後、ウェリーは彼の外出時を見計らい、木の幹を削ったところ、やはり人の血を思わせる赤い樹液がそこから出てきた。
噂は本当だったのだ。
自分を買った美しい彼こそが噂に名高い、『人食いゼフィール』
ーーともすれば、自分はいずれ殺される。
怖いとは思うが、自分がオメガだと知ってからは諦めもついている。
きっと彼は自分に跡継ぎを生ませた後、食べるつもりだろう。
覚悟していたものの、けれどその日はなかなか訪れなかった。
そればかりか、暖炉と天蓋付きのベッドがある立派な部屋を与えられる。
そしてさらに奇妙なのは、彼から命じられた事柄だった。
内容はこうだ。
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