11 / 21

 噂は果たして真実なのか。  真偽を確かめるため、ある日の午後、ウェリーは彼の外出時を見計らい、木の幹を削ったところ、やはり人の血を思わせる赤い樹液がそこから出てきた。  噂は本当だったのだ。  自分を買った美しい彼こそが噂に名高い、『人食いゼフィール』  ーーともすれば、自分はいずれ殺される。  怖いとは思うが、自分がオメガだと知ってからは諦めもついている。  きっと彼は自分に跡継ぎを生ませた後、食べるつもりだろう。  覚悟していたものの、けれどその日はなかなか訪れなかった。  そればかりか、暖炉と天蓋付きのベッドがある立派な部屋を与えられる。  そしてさらに奇妙なのは、彼から命じられた事柄だった。  内容はこうだ。

ともだちにシェアしよう!