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ⅩⅢ

   考え込むウェリーの頭にふと過ぎるのは、もしかすると彼の心には既に決まった人がいるのではないかという考えだった。  ーーそれは決まって週明けの月曜日。  彼は香水を身に付け、外出している。  目的はもしかすると恋人との逢瀬ーー。  たしかに、彼には『人食いゼフィール』という忌まわしい異名がある。  しかしあんなに美しい容姿をしているのだ。  異名を伏せ、誰かしらと肉体関係を持っている可能性だってある。  それに彼は自分よりもずっと大人で、性欲もある。  自分がその対象になれないのならば、どこかで吐き出す必要がある。  もしかするとこうしている間にも、彼はベッドの上で誰かを抱いているかもしれない。  その光景を想像するだけでもウェリーの胸は引き裂かれそうに痛んだ。  ーーそう、ウェリーは知らないうちに彼に恋をしてしまったのだ。  彼がいけないのだ。  体調を壊した時、気遣うようにして果物を分け与え、忙しいにもかかわらず、一日中傍にいてくれるからーー。  居間や食べ物だけではなく、衣服さえも上等なものを与えるからーー。

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