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ⅩⅤ

 そうすれば、こんな厄介な感情を抱かず、素直に死を受け入れられたのにーー。  ゼフィールと向き合い、話すウェリーの目からはぽろぽろと涙が零れ落ちた。 「何を言っているんだ君は?」 「みんなが言っています。ぼくを食べる気なんでしょう?」 「食べる?」  ウェリーの切実な言葉にーーけれど彼は首を傾げた。  何を言っているのか分からない。彼は暗にそう告げていた。  けれどもウェリーは、自分を買った目的を知っている。  今更隠す必要なんてない。  なんて白々しいのだろう。 「だってあの木! 幹を削ったら血が出ました。ぼくを食べた後、そうやってあの木の下に骨を埋めるんでしょう?」  限界だったウェリーの声はヒステリックになる。  彼に尋ねればーーしかし彼は何でもないかのように大きく頷いてみせた。

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