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ⅩⅥ

「ああ、あれか? あれは竜血樹といって、東洋人の友人に苗をもらってね。育ててみたらけっこうな大きさになったんだ。赤い液体は人の血液ではなく樹液なんだ。あれは止血剤や染料としてなかなか重宝するんだよ」  彼の言葉は果たして事実なのだろうか。  しかし、どうも嘘をついているようには見えない。  もし、これまでずっと当然のように思い込んでいたそれが違ったのならーー。  もし、彼に纏わるその噂が真実ではないのならばーー。  そこではじめてウェリーは慌てた。 「えっ? だって、ぼくは奴隷で……貴方に食べられるんじゃ」 「お前が助けてと言ったから、その声に呼ばれたんだ。きっかけはそれだった。知っているだろう? 番のアルファとオメガは魂さえも繋がる仲だとーー」  たしかに、強く願えば互いの結びつきが強くなることは知っている。

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