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ⅩⅦ
だからこそ、オメガはアルファの子を宿すことができるのだ。
けれどもまさか、自分がゼフィールの魂の片割れだとは考えもしなかった。
「……そんな、ぼくはてっきり貴方に食べられるのだとーーだからぼくは好きっていう感情を殺してーー」
告げられたその事実に、ウェリーは戸惑いを隠せない。
その中で、彼は尚も薄い唇を開き、話を続ける。
「たしかにーー別の意味で食べそうになるが……。それで君はずっと浮かない顔をしていたのか? しかしまさか君がぼくを想ってくれていたとは……驚いたよ」
クツクツと笑う低い声がとても心地良い。
初めて見る彼の笑みはとても優しく、あたたかだった。
悲しみのあまり凍りつつあった胸が熱を宿す。
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